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2026年8月6日
はじめに・・・本編の最終章は、未来の地図を描きますPrologueから9話にわたり、CBAMという新しい貿易ルールを、制度の骨格から中小企業の90日プランまで、地面すれすれの高度で歩いてきました。本編の最終章となる今回は、思い切って高度を上げます。目的地は、2030年です。 なぜ2030年なのか。理由は連載の中で繰り返しお話ししてきました。CBAM係数が48.5%に達し、負担が「満額の約半分」になる年。しかも、その前年の2029年から一年で、係数が22.5%から48.5%へ
2026年8月5日
はじめに・・・この回は総集編ではなく、蒸留です連載もいよいよ実践編の総仕上げです。第1話から第8話まで、制度、時間軸、品目、算定、世界動向、本音、削減、サプライチェーンと歩いてきました。道具は、ひととおりお渡ししたつもりです。 しかし、私は知っています。道具箱が立派になるほど、動けなくなる会社があることを。特に、人も予算も時間も限られた中小製造業にとって、8話分の宿題を全部やろうとしたら、それだけで一年が終わります。だから今回は、総集編ではなく蒸留をやります。前提を思い切り
2026年8月4日
はじめに・・・自社の中では、1グラムも下がらない排出がある第7話では、自社の工場の中で完結する「減らす」を、四段の階段でお話ししました。今回は、その階段では登れない場所の話です。 CBAMの内包排出量は、前駆物質、つまり買っている材料の排出まで積み上げる構造でした。ボルトなら線材、線材なら鋼、鋼なら銑鉄。御社がどれだけ省エネに励んでも、買っている材料に含まれる排出は、自社の中では一グラムも下がりません。多くの加工型企業では、製品の内包排出量の過半が、この「買ってくる炭素」で
2026年8月3日
はじめに・・・「測る」から「減らす」へ。順番の話をします第4話で測り方を、第6話で動く理由をお話ししました。今回はいよいよ、減らし方です。 最初に、この回の流儀を宣言しておきます。脱炭素の打ち手を網羅したメニュー表は、世の中にあふれています。水素、アンモニア、CCUS、再エネ、電化。どれも大切な技術です。しかし現場で本当に困っているのは、メニューの多さではなく、順番のなさです。限られた人と資金で、どれから手をつければ、いちばん早く、いちばん確実に効くのか。私が30を超える国
2026年8月2日
はじめに・・・今回は、データではなく「声」の回です前回までの5話で、制度・時間軸・品目・算定・世界動向という、CBAMの骨格を一通り歩き終えました。連載の折り返しにあたる今回は、少し毛色を変えます。データや条文ではなく、声の回です。 セミナーの質疑応答で語られる言葉と、終了後の廊下で交わされる言葉。オンライン個別相談の画面越しに、少し間を置いてから出てくる言葉。この二年あまり、私はCBAMをめぐって、たくさんの建前と、それより少しだけ小さな声の本音を聞いてきました。今回は、
2026年8月1日
はじめに・・・壁は増えるのか、つながるのか、分断するのか前回までの4話で、EUのCBAMという一枚の壁を、制度・時間軸・品目・算定の四方向から見てきました。今回はカメラを引いて、世界地図を広げます。 問いはシンプルです。炭素の壁は、EUだけの特殊事情で終わるのか。それとも世界中に増えていくのか。増えるとして、それぞれの壁は同じ規格でつながるのか、バラバラの規格で貿易を分断するのか。この問いへの答えが、日本の製造業の10年の戦略を左右します。壁が一枚なら、EU向けだけ特別対応
2026年7月31日
はじめに・・・いよいよ電卓の話です。でも、恐れる必要はありません第3話の最後に、CBAMの一貫した思想として「免除ではなく計測で報いる」という言葉を置きました。グリーン水素でさえ義務は免除されず、測って証明した結果として負担がほぼゼロになる。この制度の中で報われる唯一の道は、測ることです。今回は、その「測り方」に正面から取り組みます。 最初に申し上げておきたいのは、恐れる必要はない、ということです。排出量の算定と聞くと、環境の専門知識が要る特別な仕事に思えるかもしれません。
2026年7月30日
はじめに・・・「うちは対象外」を確かめたことは、ありますか第2話では、EUと日本の二つの時計を並べて、期日と段取りをカレンダーに落としました。今回はいったん時計から目を離して、地図を広げます。CBAMの対象品目という地図です。 Prologueで、経済産業省の「ねじ・ボルトのCBAM用算定ガイドライン」に静かな衝撃を受けた話をしました。今回はその伏線を回収します。なぜ、高炉や電炉ではなく、ねじとボルトなのか。答えは品目リストの構造の中にあります。そしてその構造がわかると、「
2026年7月29日
はじめに・・・時間軸の解像度を上げる回です第1話では、CBAMという制度の骨格を「差額精算」という一本の線でたどり、「今は軽いが、坂は急」という時間軸の感覚をお伝えしました。今回はその時間軸を、経営会議や部門の実務に落とせるところまで解像度を上げていきます。 なぜ、わざわざ一話をまるごとスケジュールに使うのか。理由は単純で、私がご相談を受ける中で、いちばん多いつまずきが「制度の理解」ではなく「期日の勘違い」だからです。「2026年から課金と聞いたのに、請求が来ない。誤報だっ
2026年7月28日
はじめに・・・Prologueで張った三つの伏線から前回のPrologueでは、2026年1月1日にCBAM(炭素国境調整措置)が本格適用に入り、製品の値札に「炭素の重さ」が乗り始めたこと、そしてそれが遠い欧州の話では済まない理由をお話ししました。その中で、三つの伏線を張らせていただきました。CBAMは関税ではなく「差額精算」だということ。移行期間の2年余りは「EUによる壮大なデータ収集期間」だったということ。そして、日本で払った炭素コストがEUに認めてもらえるのかという「二
2026年7月27日
はじめに・・・2026年1月1日、静かに始まった新しい貿易ルール2026年1月1日。この日、EUの炭素国境調整措置、いわゆるCBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)が、報告だけの移行期間を終えて「本格適用」の段階に入りました(出典:欧州委員会 CBAM規則(EU)2023/956)。 年始のニュースでの扱いは、決して大きくなかったと思います。関税引き上げのような派手さはありませんし、港で貨物が止まったわけでもありません。けれども私は、
2026年7月26日
〜廃棄物の扱い方ほど、その国の「ものへの向き合い方」が出るものはない。読者へのメッセージで締めます〜 ■はじめに長い旅に、お付き合いいただきました。Prologueで「世界の工場は、もう一度引っ越しを始めた」と書き出してから、10の話を重ねてきました。製造業の移転の地図から始まり、その影で動く廃棄物を直視し、政策と現場を歩き、人と仕組みに悩み、日本の棚卸しをして、組み方とお金を確かめ、前回、2030年のアジア循環地図を描きました。本編は、そこで一区切りです。このEpilog
2026年7月24日
〜「作る」と「循環させる」が一つになる未来。日本がアジアと共に育てられる新しい産業像を描きます〜 ■はじめにPrologueで、私はこう書き始めました。世界の工場は、もう一度引っ越しを始めた、と。あれから九つの話を重ねて、製造業の移転の地図を歩き、その影で動く廃棄物を直視し、政策と現場を見比べ、人と仕組みに悩み、インフォーマルセクターの人々に出会い、日本の静脈産業の棚卸しをし、組み方とお金の話までたどり着きました。本編の最終話となる今回は、その九つの話を、一枚の地図に重ね合
2026年7月23日
〜何百万人もの主役、インフォーマルセクター。制度の外で循環を支える人々を、排除でも放置でもなく包摂する。理想と現実のギャップごと、正直にお伝えします〜 ★★★★★読者様からのご指摘で、『第6話』をアップしておらず、『第5話』→『第7話』と紹介していたため、混乱させてしまったことお詫びして、本日『第6話』をアップ致します。引き続き宜しくお願い致します。 ■はじめに前回の第5話では、資源循環ビジネスを支える「人と仕組み」を、誰を巻き込み、どこで稼ぎ、どう続けるか、という観点か
2026年7月22日
〜事業を回すお金の組み立て方。公的支援と民間資金をどう噛み合わせるか、現実的な手順で整理します〜 ■はじめに前回の第8話では、現地パートナーとの組み方、つまり覚書、秘密保持契約、合弁という座組みの実務をお伝えしました。組む相手が決まり、契約の形が見えてきたとき、次に必ず立ちはだかるのが、お金の問題です。誰が、いくら、どういう形で出すのか。そして、そのお金は、いつ、どうやって返っていくのか。今回は、この資金とスキームの話に、正面から取り組みます。 日本では、お金の話を表立っ
2026年7月21日
〜信頼関係の作り方から契約の段取りまで。複数国にまたがる連携で、成功と失敗を分ける条件を語ります〜 ■はじめに前回の第7話では、日本の静脈産業が持つ知財は、そのまま持ち込んではならず、現地に合わせて作り替えなければならない、とお伝えしました。そして最後に、「共に育てる」と言うのは簡単だが、実際には相手国の企業や行政と、具体的に手を組む必要がある、と申し上げました。今回は、その「手を組む」という部分の、実務の話です。 正直に申し上げて、この回はいちばん地味です。志も、技術も
2026年7月20日
〜日本が積み上げた廃棄物管理の技術と仕組み。そのまま持ち込むのではなく、現地に合わせる工夫を示します〜 ■はじめに前回の第6話では、制度の外側でごみを拾い、暮らしを立てている人々を、どう仕組みの中に迎え入れるかを考えました。ここまで6回にわたって、新興国の現場の難しさばかりをお伝えしてきた気がします。今回は、少し視点を変えます。では、私たち日本は、この難しい課題に対して、いったい何を持っているのか。その棚卸しをしてみたいと思います。 じつは、この回を書くにあたって、いちば
2026年7月19日
〜立派な政策や技術を、本物の事業に根づかせる。誰を巻き込み、どこで稼ぎ、どう続けるか。現場の泥くさい知恵を、理想と現実のギャップごと、正直にお伝えします〜 ■はじめに前回の第4話では、インドネシアの政策と現場を見ながら、「政策は方向を示し、技術は道具を与えてくれる。けれども、その間をつないで、実際にお金と人とモノを動かすのは、いつだって現場の人と仕組みだ」とお伝えしました。今回からは、その人と仕組みの話に、腰を据えて踏み込んでいきます。 正直に申し上げます。ここが、資源循
2026年7月18日
〜海洋プラスチック排出量世界2位の国は、いかにして循環大国を目指すのか。Prologueの伏線を回収します〜 ■はじめに前回の第3話では、先進国から新興国へとごみが送られてきた「責任の分離」という構造を、正直に棚卸ししました。そして最後に、ごみを押しつけ合う関係から、共に資源として育てる関係へ、と申し上げました。今回は、その転換にもっとも本気で挑もうとしている国の現場へ、ご一緒に踏み込みます。主役は、インドネシアです。 Prologueの冒頭で、私はジャカルタ郊外のごみの
2026年7月17日
〜拠点が増えると廃棄物も増える。先進国が見ないふりをしてきた構造を正直に棚卸しします〜 ■はじめにジャカルタの郊外で、見渡すかぎりのごみの山に立ったとき、案内してくれた現地の方が、ぽつりとおっしゃいました。「ここにあるごみの、どこまでが私たちのもので、どこからがよその国のものか、もう誰にもわからないんです」。その言葉が、いまも忘れられません。鼻をつくにおいと、足元まで迫るごみの海。その向こうで、子どもたちが何かを拾い集めていました。成長の現場には、必ず廃棄物の現場が寄り添っ
2026年7月16日
〜各国の強みと弱み。労働力・インフラ・規制の現場感と、その背景にある産業構造・文化・歴史〜 ■はじめに前回の第1話では、なぜ今ASEANやインドなのか、その地政学とコスト、そしてきれいごとではない移転の本音を整理しました。関税という動く地面の上で、企業は一国に賭けるのではなく、複数の国に足場を分ける。そして、その選び方には、安さだけでなく、信頼という数字にしにくい項目が入ってきている。そんなお話でした。 今回は、その「足場を分ける先」を、一国ずつ歩いてみます。ベトナム、イ
2026年7月15日
〜拠点移転の背景にある地政学とコスト。きれいごとではない「移転の本音」を整理します〜 ■はじめにある製造業の経営者の方と、こんな話をしたことがあります。「中国の工場は、品質も納期も申し分ない。正直、動かす理由などなかった。それでも、動かさざるを得なくなった」。理由を尋ねると、その方は少し困った顔で、こう続けられました。「うちが悪いわけでも、中国が悪いわけでもない。ただ、お客さんが『中国製は困る』と言い出した。それだけなんです」。移転というのは、しばしば、こういう「自分ではど
2026年7月14日
〜“廃棄物大国”が“循環大国”へ、東南アジアという製造業フロンティア〜 ■はじめにジャカルタの郊外やバリ島で、山のように積み上がった廃棄物の前に立ったことがあります。むっとする熱気と、独特のにおい。その山の上を、サンダル履きの人たちが、ペットボトルや段ボールを器用に拾い集めて歩いていました。一方で、その同じ国に、世界中の名だたるメーカーが、最新の工場を次々と建てはじめています。光と影が、これほどくっきりと同居している場所も、なかなかありません。わたしが東南アジアに惹かれ続け
2026年7月12日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいことプロローグから始まり、第10話で完結した、長い連載。最後に、このエピローグを書いています。ここまでお付き合いくださったみなさんに、まず、心からの感謝をお伝えします。本当に、ありがとうございました。本当に、ありがとうございました。 本編では、フィジカルAIという大きな波を、できるかぎり具体的に、現場の目線で見つめてきました。米中の戦略、日本の勝ち筋、精密な部品、デジタル
2026年7月11日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと長い旅も、いよいよ最終回です。プロローグから数えて、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます。 この連載では、画面の中のAIが工場の床に降りてくる、という大きな変化から話を始めました。フィジカルAIとは何か。米中はどう動いているのか。日本の勝ち筋はどこにあるのか。デジタルツインとは。人とロボットの役割分担と、技能継承。そして、中堅・中小企業が、明日から何
2026年7月10日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第8話では、人とロボットの役割分担と、技能継承について、現場の本音から、たっぷりとお話ししました。ロボットは人の敵ではなく味方であること、役割分担は現場と一緒に決めること、そして技を持つベテランは、これからのキーマンであること。技術の中心に、いつも人を置く。そんなお話でした。 さて、ここまで八回にわたって、フィジカルAIの全体像から、米中の動き、日本の勝ち筋、デ
2026年7月9日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第7話では、工場全体を仮想空間に再現するデジタルツインを取り上げ、その主役は、ツールやシステムの会社ではなく「使う製造現場」であること、そして現場と技術者を繋ぐコンダクターが大切であることを、お話ししました。 今回の第8話では、その「現場」の中心にいる、いちばん大切な存在、つまり「人」に、まっすぐ焦点を当てます。 ロボットやAIが工場に入ってくるとき、人はどうな
2026年7月8日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第6話では、日本の強みである精密なハードに、現場の匠の技をAIに注ぎ込むことで「速さ」と「柔軟さ」を足し、ハード・ソフト・データを掛け合わせて勝つ、というお話をしました。 今回の第7話では、その「掛け算」を、工場全体で回していくための器とも言える「デジタルツイン」を取り上げます。よく耳にする言葉になってきましたが、その理想の姿は「自ら考える工場」です。工場が、自
2026年7月7日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第5話では、減速機・モーター・ベアリング・センサーという「精密と信頼性」の強みを確認し、その強みを、つくる側・使う側の中堅・中小企業が、どう自分の追い風に変えるかを見てきました。 今回の第6話は、その続きです。ただし、今回は気持ちのよい強みの話だけでは終わりません。日本の「弱み」に、正直に向き合います。それは、変化への「速さ」と「柔軟さ」、そしてソフトウェアの面
2026年7月6日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第4話では、米中の戦略を見たうえで、日本の土俵は「身体の中身(精密部品)」と「現場の知恵」にある、というところまでお話ししました。今回からは、いよいよその「中身」を、一つずつ具体的に見ていきます。 ただ、ここで一つ、正直にお断りしておきたいことがあります。「日本の部品はすごい」という話だけで終わってしまえば、これはただのコンサルタントの独り言、夢物語にすぎません
2026年7月5日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第3話では、ヒューマノイドの「現在地」と、「なぜ家庭より工場が先か」という理由を見てきました。各社が、どんな現場で、どこまで来ているのか。少しずつ、手触りが出てきたのではないかと思います。 今回の第4話では、視点を「企業」から「国」へと引き上げます。フィジカルAIの開発競争は、いまや一企業の話を超えて、米国と中国という二つの大国の、国家を挙げた競争になっています
2026年7月4日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第2話では、工場をまるごとAIで動かそうとする「産業向けOS」という、いわば土台の話をしました。誰が土台を握ろうとしているのか、日本はどこにいるのか。少し大きな視点で見てきました。 今回の第3話では、その土台の上で実際に動く「身体」、つまりヒューマノイド(人型ロボット)に話を戻します。テーマは二つです。一つは、各社のヒューマノイドが、いまどこまで来ているのかとい
2026年7月3日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回の第1話では、「フィジカルAIとは何か」を、身体・ワールドモデル・Sim-to-Real・VLAという言葉で整理しました。一台のロボットが、見て、考えて、動く。その正体を、できるだけかみ砕いてお伝えしたつもりです。 今回の第2話では、視点をぐっと引いてみます。一台のロボットを賢く動かす話から、「工場をまるごとAIで動かそう」という、もっと大きな構想の話へ。その象徴
2026年7月2日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 ◆前回のおさらいと、今回お話ししたいこと前回のプロローグでは、「考えるAI」から「動くAI」へという大きな流れと、2026年がその実装元年になるかもしれない、というお話をしました。半導体のお祭り騒ぎを横目に、製造業の現場では「フィジカルAI」の導入準備が静かに始まっている、という現場の温度感もお伝えしたつもりです。 今回の第1話では、その「フィジカルAI」とは、そもそも何なのか、というところを、できるだけ落
2026年6月30日
〜ヒューマノイド量産前夜、精密デバイス大国・日本の勝ち筋を探す〜 半導体のお祭り騒ぎを、現場は少し違う温度で見ています ◆はじめにここ最近、生成AIの話題が本当に尽きません。新しいモデルが発表されるたびに大きなニュースになり、その学習や運用を支える半導体をめぐっては、世界中で激しい争奪戦が続いています。エヌビディアをはじめとする半導体関連企業の存在感はますます大きくなり、株式市場も含めて、全体がちょっとしたお祭り騒ぎのようにも見えます。 ただ、私がコンサルティングの現場で
2026年6月29日
〜連載を終えるにあたって。「永遠の化学物質」と、これからも向き合う私たち〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。「PFAS、規制が現実になる年」と題して続けてきたこの連載も、いよいよ最終回となりました。序章から数えて十一回、長い道のりにお付き合いいただき、本当にありがとうございます。専門的で、ときに重い話も多かったと思います。それでも、ここまでたどり着いてくださった一人ひとりに、まず心からの感謝をお伝えしたいと思います。 今は、2026年の6月
2026年6月28日
〜PFAS対応を、守りの負担から、ものづくりの競争力に変える〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTAの代表取締役、畠山達彦です。前回の第9話まで、九回にわたって、PFASとは何か、なぜ世界が動くのか、各国の規制、どこに潜むか、どう替え、どう除き、そして自社をどう診断するかを、ご一緒に見てきました。気づかれた方もいるかもしれませんが、ここまでの話は、どちらかといえば「守り」の話でした。規制違反を避ける、訴訟リスクを減らす、取引先の求めに応える。大切なことですが、どこか受け身
2026年6月27日
〜「測る・探す」を、自社で実際にどう進めるか。守りと攻めの両方のために〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回までの八回で、PFASとは何か、なぜ世界が動くのか、各国の規制、どこに潜むか、どう替え、どう除くのかを見てきました。知識は、だいぶ揃ってきたと思います。今回はいよいよ、その知識を「自社の行動」へとつなげる回です。テーマは、中小製造業の「自社診断」。サプライチェーンをどこまでさかのぼり、含有をどう調べるのか、その具体的な手順を整理します
2026年6月26日
〜「分離」と「破壊」は別物。濃縮して壊すという発想と、立ちはだかる壁〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第7話では、PFASを「替える」ことの現実を見ました。そして、どうしても替えられない不可欠用途は、無理に替えず、管理し、除去で受け止める、というお話で締めくくりました。今回はその「除く」技術に、正面から踏み込みます。 すでに環境に出てしまったPFAS、そして替えられずに使い続けるPFASを、どうやって取り除くのか。吸着、分解、水処理
2026年6月25日
〜用途ごとに違う代替の難しさ、性能・コストの壁、そして「残念な置き換え」を避ける〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第6話では、PFASが暮らしと産業のどこに潜んでいるのか、用途別の地図を描きました。地図ができたら、次に気になるのは「では、それを別のものに替えられるのか」という問いでしょう。今回はその「替える」という話に、正面から向き合います。 「フッ素フリー」という言葉は、希望に満ちて聞こえます。けれど、現場を回っている立場から正直
2026年6月24日
〜身の回りと産業の現場の、どこにPFAS一族がひそんでいるのか〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第5話では、日本の現在地を確かめ、対応はまず「測る」ことから始まる、というお話をしました。連載の後半に入る今回からは、いよいよ具体的な実践へと話を進めます。最初のテーマは、「では、PFASは実際にどこに潜んでいるのか」という問いです。 第1話でお伝えしたとおり、PFASは一万を超える一族で、その用途は驚くほど広く、深く、私たちの暮らしと産
2026年6月23日
〜2026年4月の水道水質基準化、全国の検出状況、そして「測る」ことから始まる対応〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回までの三回で、EUの筋の通った厳しさ、そして米国の揺れと乱立を見てきました。世界をぐるりと一周してきたところで、今回はいよいよ私たちの足元、日本に目を向けます。 日本には、EUのような全面制限も、米国のような州ごとの製品規制の乱立も、まだありません。そう聞くと「では日本はまだ静かなのか」と思われるかもしれません。けれど、
2026年6月22日
〜連邦と州で「強化」と「緩和」が同時に動く複雑さと、日本企業の輸出実務への影響〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第3話では、欧州が予防原則と群規制という二つの軸で、筋の通った厳しさをもって規制を進めていることを見てきました。今回は視点を大西洋の向こう、米国へ移します。 EUが一本道だとすれば、米国は、いくつもの道が交差し、ところによって工事中だったり、逆走の標識が立っていたりする、複雑な交差点のような状態です。連邦の中でさえ、規制を
2026年6月21日
〜包装材から先に止める動きと、全面制限提案のスケジュール。「いつ・何が・どこまで」を正確に整理します〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第2話では、健康・環境残留・訴訟という三つの圧力が互いを強め合い、世界を一斉に動かしていることを見てきました。その圧力が、最も早く、最も広く「規制」という具体的な形になっているのが、欧州連合(EU)です。 今回のテーマは、そのEUの動きを「正確に」整理することです。PFAS規制の話は、つい「いずれ全部
2026年6月20日
〜分解されにくさ、体内・環境への蓄積、そして巨額の訴訟リスクが規制を加速させた〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回の第1話では、PFASが一つの物質ではなく性格のばらばらな「一族」であること、そして便利さを支える炭素とフッ素の強い結びつきが、同時に「壊れない」という宿命を生んでいることを見てきました。 今回の問いは、こうです。PFASはずいぶん前から使われてきたのに、なぜ「今」になって、世界がこれほど一斉に手を引こうとしているのでしょう
2026年6月19日
〜4,700種以上ともいわれる広がりと、撥水・撥油・耐熱という「強み」が「宿命」になった理由〜 ◆はじめにこんにちは。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦です。前回のPrologueでは、2026年が「規制の期日が次々と来る年」であること、そしてPFAS対応は環境部門だけでなくソフトウェアや営業の現場にも関わるテーマであることを、地図のようにご案内しました。今回からは、その地図の一つひとつを歩いていきます。 第1話のテーマは、いちばん根っこにある問いです。そもそもPFAS
2026年6月18日
〜EU包装規制8月施行・全面制限の足音、現場でできる代替と除去〜 ◆はじめにはじめまして、あるいはいつもお読みいただき、ありがとうございます。株式会社DCTA代表取締役の畠山達彦と申します。私はこれまで、大手ケミカルHDの事業会社で機能性樹脂の素材開発から工場設計、生産管理まで一通りを担当し、30カ国以上の現場を行き来してきました。2014年11月に独立してからは、製造業の環境規制対応や、IoT・AI・デジタルツインを使ったスマートファクトリーづくり、アジアでの資源循環ビジ
2026年6月16日
〜不安の物語ではなく、希望と打ち手の物語として。連載を、前を向いて締めくくります〜 ◆あの問いを、覚えていますかこの連載は、一つの問いから始まりました。プロローグで、私はこうお尋ねしました。『あなたのモーターは、あと何個つくれますか』。 あのときは、少しひやりとする問いだったかもしれません。レアアースが手に入らなくなれば、モーターはつくれなくなる。日本のものづくりは、見えない急所を握られている。そんな、足元が崩れるような不安を、感じた方もいたと思います。 プロローグであ
2026年6月15日
〜これまでの全要素を地図に並べ、2030年に向けて世界とレアアースがどう動くのか。中国の支配は続くのか、崩れるのか。現時点で見えている範囲で、できるだけ正直に展望します〜 ◆はじめに 地図を、広げてみる第9話では、視点をぐっと足元に寄せて、一社一社の自社診断を見てきました。最終章にあたる第10話では、その反対に、視点を思いきり引き上げます。これまで9話で見てきたすべての要素を、一枚の地図の上に並べて、少し先の未来、2030年を展望してみたいと思います。 中国の一極支配は、
2026年6月14日
〜第3話の該否判定と第4話の依存マップを一つにまとめ、紙一枚から始められる自社点検の手順を、現場目線でご案内します〜 ◆はじめに 大きな話を、足元の実務へここまで8話にわたって、レアアースの正体から、中国一極の構造、2026年の規制、止まったときの痛み、そして都市鉱山・国産資源・友好国連携という三本の柱まで、大きな絵を見てきました。お付き合いいただき、ありがとうございます。 ですが、この連載を読んでくださっている多くの方が、いちばん知りたいのは、もっと足元の話ではないでし
2026年6月13日
〜豪州・米国・カナダ・ベトナム等との連携。三本目の柱の実力と限界を、できるだけ正直に整理します〜 ◆はじめに 三本目の柱、友好国との連携第5話・第6話で『都市鉱山とリサイクル』、第7話で『南鳥島の国産資源』を見てきました。地上と海底、足元の資源です。第8話は、視点を外に向けます。オーストラリアやカナダ、ベトナムといった、信頼できる友好国と、どう手を組んでいくのか。いわゆる『フレンドショアリング』の話です。 第7話の最後で、『国産と、友好国と、リサイクルと。三つを束ねて、は
2026年6月12日
〜2026年、水深6,000mからの試掘に成功。その実力と、超えるべき課題、そして時間軸を、できるだけ正直に整理します〜 ◆はじめに 地上の次は、海の底へ第5話・第6話では、私たちの足元に眠る『地上の資源』、つまり都市鉱山とリサイクルを見てきました。第7話は、もう一つの希望に光を当てます。日本の海の底、南鳥島の沖に眠るとされる、国産のレアアース資源です。 そして、嬉しいニュースから始められます。2026年、その海底資源の試掘が、世界で初めて成功しました。資源を持たないと思
2026年6月11日
〜使用済みの磁石から、レアアースをどう取り戻すのか。磁石to磁石リサイクルと最新の分離技術、そして最大の壁を、現場目線で整理します〜 ◆はじめに 『眠っている』を『使える』に変える第5話では、私たちの足元に、世界有数の『都市鉱山』が眠っていることを見ました。そして、その宝を掘り尽くせない『三つの壁』のうち、二つ目に『分けることの難しさとコスト』を挙げました。第6話は、まさにこの壁に正面から挑む回です。眠れる宝を、どうやって起こすのか。回収と分離の技術が、今回の主役です。
2026年6月10日
〜資源小国ニッポンの逆説。使い終わった製品の山に眠るレアアースと、『第2の鉱山』の本当の意味を、現場目線で掘り下げます〜 ◆はじめに ここから、連載は折り返します第1話から第4話まで、レアアースの正体、中国一極の構造、2026年の規制、そして止まったときの痛みを見てきました。正直、少し気が重くなる話が続いたかもしれません。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。 第5話から、連載は折り返します。ここからのテーマは『では、どう乗り越えるか』です。第4話の最後で、止
2026年6月9日
〜3カ月で約6,600億円、1年で約2.6兆円。数字だけでなく『何日目に何が起きるか』という時間軸で、現場目線で描いてみます〜 ◆はじめに 『止まったら、どうなるか』を時間軸で描く第3話では、2026年の対日規制を『三重の網』として整理しました。許可制、軍民両用、域外適用。網の形は分かった。では、もしこの網で供給が本当に止まったら、現実に何が、いつ、どの順で起きるのでしょうか。第4話は、その問いに向き合います。 規制の話は、どうしても抽象的になりがちです。『経済損失6,6
2026年6月8日
〜0.1%ルール・50%ルールなど、商社経由や第三国経由でも逃れられない仕組み。自社が「該当するかどうか」の見極め方を、現場目線で整理します〜 ◆はじめに 「網の中身」を、落ち着いて開いてみる第2話では、中国がレアアースの精製を握るに至った構造を見ました。そして最後に、今回の規制が『全面禁輸』ではなく、許可制や対象の絞り込みといった『調整可能な網』として、段階を踏んでかけられてきたことに触れました。第3話では、その網の中身そのものを開いていきます。 規制と聞くと、つい身構
2026年6月7日
〜埋蔵は世界中にあるのに、なぜ中国が握るのか。精製・分離工程の環境負荷とコスト構造が生んだ集中の理由を、現場目線で整理します〜 ◆はじめに 「分けにくさ」の話の、その先へ第1話では、レアアースの正体を整理しました。希少なのは『量』ではなく『分けやすさ』であること。17元素は互いによく似ていて、ひとつずつに分離・精製するのが本当に難しいこと。そして、その分離には『溶媒抽出』という、何十回も何百回も繰り返す重い工程が必要なこと。ここまでをお話ししました。 第2話は、その『分け
2026年6月6日
〜EVモーター・風力タービン・MRI・半導体になぜ不可欠なのか。17元素の役割と「軽希土類・重希土類」の違いを、現場目線で整理します〜 ◆はじめに まずは「正体」を知るところからPrologueでは、2026年1月の対日規制をきっかけに「あなたのモーターは、あと何個つくれますか」という問いをお話ししました。あの回は、いわば全体の地図を広げる話でした。第1話では少し肩の力を抜いて、そもそもレアアースとは何者なのか、というところから一緒に整理していきたいと思います。 正直に申
2026年6月5日
〜2026年1月、世界の工場が止まりかけた日。レアアース対日規制が照らし出した日本の急所を、「恐怖の話」ではなく「構造の話」として読み解きます〜 ◆はじめに 現場から届いた、同じ問い2026年に入って最初の数日、私のところに届くメッセージが少しだけ増えました。東南アジアの取引先、国内の中堅メーカーの調達担当の方、そして昔の同僚。みなさん言い回しは違うのですが、聞きたいことはほとんど同じでした。 ・ 「うちの製品、レアアース、結局どこから来てるんだっけ?」 ・ 「いまの
2026年6月4日
◆はじめにいつものように、早朝の湘南の海から、この最終回を書き始めています。まだ人のいない波打ち際に立って水平線を眺めていると、頭の中がすっと静かになり、ふしぎと言葉が浮かんできます。長く続けてきたこの連載も、いよいよ最後の一話です。少しだけ、肩の力を抜いて、これまで書いてきた理屈の話から離れて、私の正直な思いをお伝えできればと思います。 この連載は、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスク、いわば「ホルムズ封鎖」という不穏な言葉から始まりました。あのとき私は、これは日本の製造業
2026年6月3日
〜2035年に向けた5つの転換シナリオ〜 ◆はじめにいよいよ連載の集大成となる第12話をお届けします。ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクを出発点に、アジアの脱ナフサ戦略、素材の再設計、スマートファクトリーとエネルギー管理、経営者が問うべき3つの問い、そして静脈産業の国際展開と、ご一緒に旅をしてきました。最終回となる本稿では、これらを束ねて、2035年に向けた製造業の地図を描いてみたいと思います。 地図といっても、唯一の正解を示すものではありません。不確実な時代を歩くための、
2026年6月2日
〜資源循環ビジネスの国際展開論〜 ◆はじめに第10話では、経営者が問うべき3つの問いのひとつとして「市場」を取り上げ、その先にアジアやグローバルサウスという新しい市場があるとお伝えしました。第11話では、その具体論に踏み込みます。テーマは、日本の「静脈産業」を世界へ輸出する、という話です。 日本が長年積み上げてきた廃棄物管理の仕組み、リサイクル技術、そして分別インフラは、私はアジアに輸出できる立派な「知財」だと考えています。私自身、インドネシアでの資源循環事業の支援をはじ
2026年6月1日
〜「原料・エネルギー・市場」の再点検〜 ◆はじめに第9話までは、スマートファクトリーやエネルギー管理といった、どちらかといえば技術や現場寄りのお話を続けてきました。第10話では、少し視点を変えて、経営者ご自身が一度立ち止まり、自社の足元を問い直すための回にしたいと思います。脱ナフサ時代は、これまで当たり前だった前提が静かに崩れていく時代です。こうした局面では、現場の改善の積み上げだけでは届かない領域が出てきます。 そこで本稿では、経営の意思決定として向き合っていただきたい
2026年5月31日
〜AIとIoTが製造業の脱炭素を加速する〜 ◆はじめに第8話では、バイオ素材・リサイクル素材・機能性素材という「素材の再設計」が、これからの競争優位を生むというお話をいたしました。ただ、どんなに優れた素材を設計できても、それを安定して、しかも少ないエネルギーでつくり込めなければ、現場では絵に描いた餅になってしまいます。第9話では、その「つくり込み」を支えるデジタルの力、つまりスマートファクトリーとエネルギー管理について、私の現場での経験も交えながら整理してみたいと思います。
2026年5月30日
〜素材・リサイクル素材・機能性素材の最前線〜 ◆はじめに前回の第7話では、中国のMTOプロセス、インドの精製能力拡大、東南アジアの再エネ転換という、アジアの製造業地図の塗り替えについてお話ししました。「ナフサがなくても動ける産業」を先に作る国が、次の競争を制するという内容でした。 今回は、その視点を一段だけ製品の側に引き寄せます。脱ナフサは、原料の話だけにとどまりません。最終的には、私たちが日々設計し、つくっている「素材そのもの」を見直す話に行き着きます。バイオ素材、リサ
2026年5月29日
〜中国MTO・インド精製・東南アジア再エネ、「ナフサなしで動ける産業」を先に作る国が勝つ〜 ◆はじめに 第6話から第7話へ第6話では、欧州発のCBAM・EPR・EU規制群が日本の製造業にどう影響するかを整理しました。規制を「先読み」する企業だけが生き残る、というメッセージをお伝えしてきました。 第7話では、視点を欧州からアジアに移します。欧州が「規制」で世界をリードする一方、アジアでは別の論理で製造業の地図が塗り替えられています。中国はMTO(メタノール・トゥ・オレフィン
2026年5月28日
〜欧州発の規制が日本の製造業のサプライチェーンをどう変えるか〜 ◆はじめに 第5話から第6話へ第5話までで、原料の脱化石化(第1話)、リサイクル経済の産業化(第2話)、再エネ電力の競争力化(第3話)、中東依存とシェール依存の地政学リスク(第4話)、水素経済の実装(第5話)と、製造業を取り巻く構造変化を一つひとつ整理してきました。 第6話では、これらすべてを横断する「ルール変更」の話をします。欧州発の規制群、すなわちCBAM、EPR、PPWR、ESPR、CSRD、PFAS規
2026年5月27日
〜「いつか来る」から「もう動き始めた」へ。水素を産業の血流として扱う〜 ◆はじめに 第4話から第5話へ第4話では、中東依存とシェール依存という二つのリスクを抱えながら経営判断を組み立てる、というお話をしました。地政学リスクをゼロにはできない、両方を抱えて分散していくしかない、と。 では、その「分散」の中身として、何を増やしていくのか。第5話で取り上げるのが、水素です。 水素について、わたくしの率直な実感を最初に申し上げます。水素は長い間、「いつか来るエネルギー」と語られ
2026年5月26日
〜どちらかを選ぶのではなく、両方を抱えて分散する〜 ◆はじめに 第3話から第4話へ第3話では、再エネ電力が製造業の競争力を決める時代に入った、というお話をしました。電力は与件ではなく、経営戦略の中心テーマだ、と。 第4話では、もう一段、ハードな現実に踏み込みます。地政学リスクです。 Prologueで「ホルムズ封鎖」のシナリオを描きました。あれは仮想の話ですが、原油・LNG・ナフサ・石油化学製品の輸送ルートが何らかの事情で断たれることは、もはや「あり得ない話」ではなくな
2026年5月25日
〜原料の次は電力。電気代が経営判断の中心に来る〜 ◆はじめに 第2話から第3話へ第2話では、リサイクルが「義務」から「産業」へ変わる構造転換と、廃プラスチックがケミカルリサイクルを経て化学原料に戻る世界をお伝えしました。多くの方から「原料の話はわかった。次は電力ですよね」というお声を頂戴しました。 そのとおりです。第3話は電力です。 脱ナフサの議論で原料の置き換えだけを語ると、必ず行き詰まります。なぜなら、エタンクラッカーもバイオナフサ精製も廃プラ熱分解も、CO2由来合
2026年5月24日
〜廃プラが「ゴミ」から「原料」になる時代の、産業構造の組み直し〜 ◆はじめに 第1話から第2話へ第1話では、ナフサの四つの後継者(エタン・バイオマス・廃プラ・CO2)を並べさせていただきました。そのなかで、廃プラスチックは「日本にとって最も射程の長い後継者」だと申し上げました。 第2話では、その廃プラを掘り下げます。テーマは「リサイクルは『義務』から『産業』へ」。これまで日本のリサイクルは、容器包装リサイクル法に代表される「義務としての処理」が主軸でした。けれども2026
2026年5月23日
〜エタン・バイオマス・廃プラ・CO2、四つの後継者を比べる〜 ◆はじめに Prologueから第1話へPrologueでは、2026年2月28日のホルムズ封鎖以降の急変と、日本の製造業が抱える三つの脆弱性(素材・循環・電源)を腰を据えてお伝えしました。多くの読者のみなさまから「危機の構造はわかった。では、ナフサに代わる原料は本当にあるのか」というお声を頂戴しました。 第1話では、その問いに正面から向き合います。テーマはひとつだけ。「ナフサの後継者は誰か」。エタン、バイオマ
2026年5月22日
素材・リサイクル・エネルギーを三位一体で設計する 〜ホルムズ封鎖が教えてくれた「次の産業革命」の地図〜 はじめに 湘南の朝に見えた貨物船から湘南の海岸を朝歩いていると、波の向こうに、貨物船が見えます。横浜港のほうから、東京湾を出ていく船です。あの船の腹のなかに、どれくらいの原料が積まれていて、それが日本のどの工場にどう運ばれていくのか。三十数年、製造業の現場を歩いてきた者として、つい想像してしまいます。 わたくしたち日本の製造業が、これほどまでに「原料の出どころ」を意識せ
2026年5月21日
はじめに 長い旅の終わりにここまで11回(Prologue+第1話〜第10話)にわたって、長い旅にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 「再生可能エネルギーと製造業、建前を脱して本音で向き合う」という主題で、わたしが最も伝えたかったのは、データや事例ではなく、製造業の現場に長く関わってきた一人の人間としての、率直な思いでした。 最終回のEpilogueでは、連載全体を通じて見えてきたものを、改めて申し上げたいと思います。 「エネルギーを制する者が、製造業を
2026年5月20日
製造業はどこに向かうか はじめに 第9話までを振り返ってここまで9話にわたって、再生可能エネルギーと製造業の関係を、現場感覚で掘り下げてまいりました。 ● Prologue:工場の電気はどこから来るか ● 第1話:再エネの基礎、製造業に向くのはどれか ● 第2話:日本の再エネの現在地、G7最低水準から抜け出せるか ● 第3話:欧州の再エネ戦略、工場への直接調達とPPAの実態 ● 第4話:米国のエネルギー転換、シェール革命から再エネへ ●
2026年5月19日
価格高騰時代を生き抜く はじめに 第8話を振り返って第8話では、「RE100・SBT・CBAM、サプライチェーン全体の脱炭素」というテーマで、自社の壁を越えた外部圧力に向き合う3つの視点を掘り下げました。RE100の世界444社・日本93社(米国と同率1位)、SBT V2.0改定の5つの変更点(Scope2デュアル基準・第三者保証義務化等)、CBAM 2026年1月の本格運用と日本企業への3経路影響について、現場感覚でお伝えしました。 特に強調したのが、「脱炭素を『コスト
2026年5月18日
サプライチェーン全体の脱炭素 はじめに 第7話を振り返って第7話では、「工場電化と熱プロセス、製造業の現場でどう実装するか」というテーマで、第二層(燃料起因CO2)の現場実装論を3つの視点で掘り下げました。ヒートポンプの可能性と限界(〜200℃まで)、JFE倉敷の世界最大級電炉導入決定(投資3,294億円、年260万t-CO2削減)、GI基金の鉄鋼4社コンソーシアム(4,500億円、3拠点実証)について、現場感覚でお伝えしました。 特に強調したのが、「設備更新タイミングと
2026年5月17日
製造業の現場でどう実装するか はじめに 第6話を振り返って第6話では、水素・アンモニア・合成燃料という「脱炭素第二の波」を3つの視点で掘り下げました。製造業のCO2排出を3つの層(電力起因・燃料起因・原料起因)に分けて整理し、水素社会推進法(2024年10月施行、官民7兆円規模)、AZECの「多様な道筋」、そしてサウジNEOM 84億ドル投資の世界最大グリーン水素プロジェクトについて、現場感覚でお伝えしました。 本日の第7話では、第6話で示した3つの層のうち、第二層「燃料
2026年5月16日
製造業の脱炭素第二の波 はじめに 第5話を振り返って第5話では、東南アジアの再エネポテンシャルを3つの視点で掘り下げました。ASEANは2030年に再エネ45%を目指すものの、化石燃料追加が再エネを上回る現実、ベトナム・タイ・インドネシアの3つの代表パターン、そしてシンガポールが11プロジェクト約8.35GWの低炭素電力を輸入する戦略。わたしのCLOMA・AOTSでの現場経験を踏まえて、「日本製造業のホームグラウンド」としてのASEAN市場を本音で書きました。 本日の第6
2026年5月15日
製造業が再エネを「他人事」にしてきた理由 はじめに 第4話を振り返って第4話では、米国のエネルギー転換を3つの視点で掘り下げました。シェール革命で天然ガス大国になり、IRA(2022年)で再エネへ投資を加速し、OBBBA(2025年7月)で政策が急変したこと。Microsoft 40GWのPPA契約、テキサスのデータセンター220GW申請、カリフォルニアのSB100で2025年に1日7時間の100%クリーン運用を実現していること。 振れ幅の大きい政策と、州ごとに異なる電力
2026年5月14日
シェール革命から再エネへ はじめに 第3話を振り返って第3話では、欧州の再エネ戦略を3つの視点で掘り下げました。コーポレートPPA市場が2024年に19GWに達したこと、英国CfDがAR7で8.4GWの過去最大の洋上風力を契約したこと、そしてドイツの産業需要家(BASF、Mercedes-Benz、Salzgitter)が3つのパターンで本気の調達を進めていること。欧州が政策ツールと需要家本気度の両輪で動いている姿を、本音で書きました。 本日の第4話では、視点を米国に移し
2026年5月13日
工場への直接調達とPPAの実態 はじめに 第2話を振り返って第2話では、日本の再エネの現在地を整理しました。「G7最低水準」という現実、第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)の野心的な2040年目標、そして2026年4月に施行されるGX-ETSという新しいゲームのルール。これらが、製造業の現場に何を求めるのかを、本音で書きました。 本日の第3話では、視点を欧州に移します。 「欧州が日本より進んでいる」という言葉は、もう聞き飽きるくらい繰り返されてきました。た
2026年5月12日
製造業が再エネを「他人事」にしてきた理由 はじめに 第1話を振り返って第1話では、5つの再エネ電源(太陽光・風力・地熱・水力・バイオマス)の正体と、製造業との相性を整理しました。 「太陽光は屋根上から始めるのが現実的」「風力は系統電力経由」「地熱は潜在力大も普及遅延」「水力は既存ストックの非化石価値」「バイオマスは自社廃棄物活用業種で有力」という結論にたどり着いたかと思います。 第2話では、視点を一段上げて、日本という国全体の再エネの現在地を整理します。そして、製造業の
2026年5月11日
はじめに Prologueから第1話へPrologueでは、「ナフサ・ショックの双子の問題が、エネルギーの話である」というところから始めました。 ホルムズ封鎖、化石燃料70%依存、G7最低水準の再エネ比率。これらの脆弱性が、製造業にとって他人事ではなくなったという話を整理いたしました。 その続きとして、本日の第1話では、いよいよ再生可能エネルギーの「中身」に踏み込んでいきたいと思います。 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス。これらの言葉は、製造業の方なら誰でも一度は
2026年5月10日
製造業が再エネを「他人事」にしてきた理由 はじめに 2026年5月、いま現場で起きていること2026年2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃しました。 それから2か月余りが経過した今、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態が続いており、タンカーの通航数は停戦合意後も1日数隻という極端な低水準にとどまっています。 日本のナフサ価格は戦争開始以来60%超の高騰を見せ、5月分の石油確保は約60%にめどがついたとされる一方、ナフサ・石化原料・LNGはそれぞれ独立した調達網を持つため
2026年5月8日
〜技術論・戦略論を超えた、より根源的な問いを共有する〜 少し立ち止まって Prologueから第10話まで、連載「リサイクルの真実」を、できるだけフラットに、できるだけ具体的にお伝えしてきました。日本72%という数字の真実から始まり、3つの手法の格付け、欧州の戦略、米国の現実、日本の現在地、東南アジアの動き、ケミカルリサイクル最前線、使い手の問題、EPRの波、ビジネスのつくり方、そして設計図。全11回の長い旅でした。 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございま
2026年5月7日
〜5〜10年で取るべき総合戦略〜 Prologueから第9話まで、世界のリサイクルの動き、日本の現状、技術の最前線、使い手の問題、EPR、ビジネスのつくり方を、できるだけ具体的に整理してきました。今回は、連載本論の最終回として、これらすべてを踏まえた「日本がリサイクル先進国になるための設計図」を、私なりの提言としてまとめます。 私はコンサルタントとして、政策立案のお手伝いをすることもあれば、企業の事業戦略策定に関わることもあります。30年以上の樹脂開発・工場運営・グローバ
2026年5月6日
〜製品開発・循環型サプライチェーン・新規事業立ち上げの実践論〜 第7話で「使い手」が育たない構造的な問題を、第8話でEPRという最強のドライバーを取り上げてきました。今回はいよいよ、これらを踏まえた「リサイクル素材を使ったビジネスをどう作るか」という具体的な事業設計の話に踏み込みます。 私は、コンサルタントとして循環経済関連の事業立ち上げ案件を、年間複数件支援しています。化学メーカー、装置メーカー、商社、流通業、小売業、食品メーカー、自治体、現地パートナーといった多様なプ
2026年5月5日
〜メーカーが「回収責任」を持つ時代〜 第7話で、リサイクル素材の「使い手」が育たない構造的な問題を、5つのボトルネック、5つの仕組み、3つの行動という流れで整理しました。その仕組みの中で、最も強力なドライバーになり得るのが、今回取り上げる「拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility、以下EPR)」です。 EPRとは、簡単に言えば「製品を作ったメーカーが、その製品が使い終わったあとの回収・リサイクル・処理の責任を、ある程度負担する」とい
2026年5月4日
〜「供給側だけ整備」という構造的失敗を解きほぐす〜 第6話までで、欧州のリサイクル戦略、米国の二重構造、日本の現在地、東南アジアの動き、そしてケミカルリサイクル(CR)の技術内容を見てきました。これらはいずれも「リサイクル材を作る側=供給側」の話でした。 今回は、視点をぐるりと反対に向けます。リサイクル素材の「使い手」、つまり再生材を購入して製品にする側の話です。 この「使い手」の問題は、私が現場で何度もぶつかってきた、日本のリサイクル産業の最大の急所と言っても過言では
2026年5月3日
〜日本企業は戦えるか〜 これまでの連載で、欧州が約7,500億円、米国が約3兆円の規模でケミカルリサイクル(以下、CR)に投資していること、そして日本のCR投資累計は5年で約2,000億円にとどまっていることをお伝えしてきました。「数字だけ見れば日本は明らかに遅れている」という結論になりがちですが、現場を歩き、技術内容を一つひとつ覗いてみると、もう少し複雑な姿が見えてきます。 私自身、樹脂開発・工場設計・プラント運営の現場を30年以上歩き、化学メジャー在籍時代には世界各地
2026年5月2日
〜廃棄物大国から資源循環大国へ、変われるか〜 これまで第1話で「日本のリサイクル率72%」の中身を、第2話で欧州のサーキュラーエコノミー戦略を、第3話で米国の二重構造を、第4話で日本の強みと弱みを、それぞれ整理してきました。 今回は、舞台を東南アジアに移します。私自身、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)の海外廃プラスチック資源循環ワーキンググループでチームリーダーを務めながら、AOTS(海外産業人材育成協会)の技術派遣プログラム、そしてDCTAと
2026年5月1日
〜強みと弱みを、正直に棚卸しする〜 第2話で欧州のリサイクル戦略を、第3話で米国の二重構造を、それぞれ整理してきました。第1話では「日本のリサイクル率72%」の中身を分解してご覧いただきましたが、今回はいよいよ、日本のリサイクルの全体像を、強みと弱みの両面から、正直に棚卸ししていきたいと思います。 私自身、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)の廃プラスチック資源循環ワーキンググループでチームリーダーを務めながら、国内のリサイクル業界、自治体、メーカ
2026年4月30日
〜「先進国」の意外な遅れと、新しい動き〜 第2話では、欧州のリサイクル戦略の中身を、PPWRを中心に整理しました。規制の連邦のような複雑さの中で、欧州が「産業政策」としてリサイクルを位置づけている姿を、ご一緒に確認しました。 今回は、視点を大西洋の向こう側、米国に移します。米国のリサイクル事情は、欧州とも日本ともまったく異なる、独特な姿をしています。簡単に言うと「単純リサイクル率は実は日本より低い、でもケミカルリサイクルへの民間投資額は世界最大規模」という、極端な二重構造
2026年4月29日
〜EU新包装材規制(PPWR)・サーキュラーエコノミーの実態〜 第1話で、日本のリサイクル率72%を欧州基準で再計算すると約29%に落ちる、という整理をお伝えしました。なぜそれほどの差が生まれたのでしょうか。それは、欧州が「サーキュラーエコノミー」という思想を、政策と規制と投資と産業構造で本気で具体化してきた、その積み重ねの結果なのです。 今回は、欧州のリサイクル戦略の中身を、私が現地のお客様、規制当局、業界団体ヒアリングで得た情報を交えながら、現場目線で読み解いていきます
2026年4月28日
〜メカニカル・ケミカル・サーマル、何が違うのか〜 Prologueでもお伝えしたとおり、日本のプラスチックリサイクル率72%という数字には、欧米とは異なる計算方法のからくりがあります。今回はその核心、「メカニカル」「ケミカル」「サーマル」という3種類のリサイクルの違いを、現場目線で整理していきたいと思います。 「燃やして熱を取るのもリサイクルではないですか」と、私もよく聞かれます。日本ではそのように位置づけられてきましたが、欧州では「リサイクル」と呼ばないルールが定着して
2026年4月27日
「日本のリサイクル率72%」は本当か 数字の裏側にある不都合な事実 前作「ナフサ・ショック」からの続編として先日完結した連載「ナフサ・ショック 石油依存産業の終わりの始まり」では、2026年2月のホルムズ海峡封鎖を起点に、日本の製造業が抱える「ナフサ95%依存」という構造的な急所と、そこから抜け出すための地図を、12回にわたって書かせていただきました。 最終話のEpilogueでも触れたとおり、ナフサショックが私たちに突きつけた問いは、原料の話だけでは終わりません。「石油
2026年4月26日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 2026年2月28日。 米国とイスラエルがイランを攻撃したその日から、日本のナフサ在庫の20日分というカウントダウンが始まりました。 Prologueから第10話まで、私はこの「数字」を起点に書いてきました。構造を解剖し、波及を追い、代替の現実を見つめ、2030年の地図を描こうとしました。 最後のEpilogueでは、数字や技術や政策の話を少し脇に置きます。 「今回の危機は、日本のものづくりに何を問うているの
2026年4月25日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字:第10話へのブリッジ】 ▶Prologue〜第9話で見てきたこと:ナフサショックの構造・波及・勝ち負け・代替技術・地域比較・実践対策 ▶第10話の問い:「2030年に、石油化学産業の地図はどう変わっているか」 ▶4つの原料転換の方向性:エタン・バイオマス・ケミカルリサイクル・CO₂由来化学品 ▶日本の石油化学産業の生き残り戦略:「特化と連携」という設計論・ 2030年の日本のナフサ依存度目標(推
2026年4月24日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶日本の中小製造業(従業員300人未満):製造業全体の事業所数の99%以上を占める ▶中小製造業の原料在庫水準:大企業比で薄い傾向(コスト削減優先の結果) ▶中小製造業の主要原料の調達先集中:約6割が1〜2社依存(推計) ▶価格転嫁率:中小製造業は大企業比で大幅に低い(内閣府・中小企業庁調査) ▶ナフサショック発生から:8話分の「なぜ・何が起きているか」を理解した今こそ「どうするか」を実行する
2026年4月23日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶グリーン水素製造コスト(現状):約5〜10ドル/kg(グレー水素の5〜10倍) ▶グリーンメタノール:商業規模の製造事例は限定的(2026年時点) ▶日本の再エネ発電比率:約25%(2025年度実績推計) ▶ナフサクラッカーの熱分解温度:800〜900℃(電化が最も困難な工程の一つ) ▶GX(グリーントランスフォーメーション)投資:政府目標10年間150兆円規模 ■ 「再エネでナフサを作れ
2026年4月22日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【本日の数字】 ▶日本のプラスチックリサイクル率(公称):約87%(うちサーマルリサイクル=燃焼熱回収が約57%) ▶欧州基準で計算した日本の実質マテリアルリサイクル率:約30%程度 ▶EUのマテリアルリサイクル率目標:2030年までに55%以上(PPWR) ▶ASEAN地域の廃プラスチック適正管理率:50%未満(推計) ■ 「リサイクル率87%」は本当に高いのか 数字の読み方「日本のプラスチックリサイクル
2026年4月21日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶バイオマスナフサのコスト:通常ナフサ比1.5〜2倍以上(原料・製造コスト込み) ▶世界のバイオマスナフサ供給量:ナフサ需要全体の1%以下(2026年時点推計) ▶三井化学×Neste社:バイオマスナフサのマスバランス方式供給(2021年〜継続中) ▶Neste社のリニューアブルナフサ生産能力:主要工場(オランダ・シンガポール等)で増産中 ▶EU PPWR:2030年までにリサイクル材・再生可
2026年4月20日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶日本国内のケミカルリサイクル設備能力:年間数万トン規模(推計) ▶日本の廃プラスチック年間排出量:約820万トン(2023年推計) ▶ケミカルリサイクル原料コスト:バージンナフサ比2〜5倍(技術・規模により差大) ▶国内主要プロジェクト:ENEOS・レゾナック・三菱ケミカル等が実証〜商業化移行期 ▶EU規制(PPWR):2030年までにリサイクル材含有率の法的義務化を進行中 ■ 「廃プラか
2026年4月19日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶信越化学工業:米国テキサス州のエタンクラッカーは通常稼働継続。利益率拡大構造が自動的に働いている ▶ダウ・ケミカル(米国):シェールガス由来エタン使用。アジア向けポリエチレンの競争力が上昇中 ▶日本・韓国のナフサ依存石油化学メーカー:ナフサ価格60%高騰によりコスト構造が急速に悪化 ▶三菱ケミカル・住友化学等:エチレン稼働率削減に加え、固定費回収の悪化で通期業績への影響が不可避 ▶サビック(
2026年4月18日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶民間ナフサ在庫:約20日分(2026年4月時点) ▶エチレン生産設備:主要メーカーが稼働率削減を開始・継続 ▶代替調達(喜望峰ルート):通常比輸送日数2〜3倍、コスト大幅増 ▶ナフサスポット価格:開戦前比60%以上の高値圏を維持 ▶JIT(ジャスト・イン・タイム)生産体制の製造業:在庫バッファが薄く最も早く影響を受ける ■ 「20日分」の真の意味 安心できない理由「民間在庫が約20日分ある
2026年4月17日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶日本の石油化学原料に占めるナフサの割合:約90〜95% ▶米国のエチレン生産原料に占めるエタンの割合:約70%以上 ▶中国のMTO(メタノール・トゥ・オレフィン)設備能力:世界最大規模 ▶信越化学工業の米国エタンクラッカー:テキサス州に自社保有・通常稼働継続中 ▶日本のナフサクラッカー建設コスト:数百億〜数千億円規模(転換投資の壁) ■ 「なぜ日本だけ?」という素朴な疑問から始める第1話で
2026年4月16日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 【今日の数字】 ▶アジア向けナフサ価格:開戦前比60%以上高騰(2026年3月〜継続中) ▶三菱ケミカル:エチレン生産設備の稼働率削減を継続中 ▶日本国内のナフサ民間在庫:約20日分(国家備蓄対象外) ▶日本の石油化学原料に占めるナフサの割合:約90〜95% ■ まず正直に聞きます 「ナフサって何ですか?」製造業に関わる方でも、「ナフサ」という言葉を正確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。化学系の部
2026年4月16日
〜ホルムズ海峡封鎖が暴いた「日本の急所」と、そこからの脱出地図〜 Prologue 「あなたの工場の原料は、あと何日分ありますか」2026年2月28日、米国とイスラエルによるイランへの大規模軍事攻撃が始まりました。 翌日から、ホルムズ海峡を通過するタンカーの数が急激に減り始めました。世界の石油・LPG輸送の約2割が通過するこの海峡が、事実上の封鎖状態に陥ったのです。 その瞬間から、日本の製造業の「急所」が世界に晒されることになりました。 【2026年4月現在 確認済みデー
2026年4月15日
「あなたの現場には、問い続ける人がいるか」 読者一人ひとりへの直接的なメッセージで、この連載を完結します。 はじめに 旅の終わりに長い旅でした。 Prologueから始まって、第1話、第2話、第3話と、10話にわたって、世界中の製造現場の話をしてきました。タイ、インドネシア、インド、ドイツ、ポーランド、韓国、サウジアラビア、UAE、チェコ、ベトナム、マレーシア。そして日本。 30カ国以上を歩いてきた年月の中で出会った、無数の人たちの声と姿が、この連載の素材です。 最後
2026年4月14日
組織文化の設計図。 5つの条件と、今日から始められる小さな一歩。 はじめに この連載で出会った人たちのことこの連載は、Prologueで一人の工場長の話から始まりました。 タイ・チェンマイの郊外にある工場で、毎朝1時間、現場を歩いて「昨日、何か気になることあった?」と問いかけ続けた工場長。設備でも予算でもなく、「聴くこと」によって、3年間で工場を変えた人。 その後、わたしたちはさまざまな現場で、さまざまな人と出会いました。 インドネシアのジャワ島で、機械の音の変化を2
2026年4月13日
経験をどう言語化・継承するか。 技能継承とナレッジマネジメントの現場論。 はじめに 「バトン」が渡らないとき製造業の現場で「技能継承」という言葉を聞くとき、わたしはいつも一人のベテラン技術者を思い出します。 前職の大手ケミカルHD時代、樹脂成形の工場に、田中さん(仮名)という方がいました。入社して30年以上、ひたすら同じ押出成形ラインと向き合い続けてきた、工場の「生き字引」と呼ばれる人でした。 田中さんが担当するラインは、なぜか他のラインと比べて品質トラブルが少なかった。
2026年4月12日
熱量が冷めた後に何を仕組み化するか 推進者が異動しても変革が続く「組織の記憶」の設計論。 はじめに 「あの工場長がいたころは良かった」製造業の現場でコンサルタントをしていると、しばしばこういう言葉を聞きます。 「あの工場長がいたころは、本当に良かったんです。現場の雰囲気が全然違った。改善が次々に生まれて、問題があれば皆が率直に言えて。でも、工場長が本社に異動になってから、少しずつ戻ってしまって」 あるいはこういう言葉も。 「2年前に、品質改善プロジェクトをやりました。外
2026年4月11日
生成AI・フィジカルAIが普及した工場で、人の役割をどう再定義するか。 はじめに 「AIに仕事を奪われる」という問いの立て方を変える「AIに仕事を奪われますか?」 製造業の現場でコンサルタントをしていると、この問いを頻繁に受けます。工場長から、ライン担当者から、品質エンジニアから、人事部門から。立場は違っても、問いの根底にある不安は同じです。 「自分のやっていることが、いつかAIに置き換わるのではないか」 この問いに、わたしはいつも少し立ち止まります。問いの立て方が、
2026年4月10日
昨今の世界情勢から懸念される「水」について、(ちょっと連載を止めて)飛び込み企画を投稿します! 石油の次の争奪資源は「水」である。地政学のプロたちがそう囁き始めています。中東では、海水淡水化プラントへの攻撃が、石油施設と並ぶ安全保障上の最重要課題となりつつあります。本稿では、この「水」をめぐる世界的危機を背景として、海水淡水化技術の歴史・現状・最新技術・そして未来展望まで、現場感覚で深掘りしていきます。 1.水に関する世界的背景地政学的リスクが示す「水」の戦略的重要性1-
2026年4月9日
数字で測れないものが現場を支えている KPIが見落とす現場の実力。「暗黙知の定量化」という逆説。 はじめに 数字が「正しい」のに、現場が壊れていく製造業の経営会議でよく見る光景があります。 スライドには、稼働率、不良率、生産コスト、在庫回転率、納期達成率。きれいに並んだ数字たち。すべての指標が「目標達成」か「改善中」を示している。 でも、その会議を終えて工場の現場に入ると、現場のリーダーたちの顔に疲弊が見える。ベテランの技術者が「もうここには長くいられない」と小声でつぶ
2026年4月8日
〜タイ・インド・中東・欧州での現場マネジメント実例〜 はじめに 「なぜ、あのチームは強いのか」という問い製造業のコンサルタントをしていると、「このチームは強い」と直感的に感じる瞬間があります。 それは、必ずしも同じ国籍、同じ言語、同じ文化を持つチームではありません。むしろ、さまざまな国籍と文化が混在するチームの中に、「強い」と感じるものが多い。 一方で、多国籍チームに関わる現場リーダーから、最もよく聞く悩みの一つが「文化の違いで、チームがうまく動かない」というものです。
2026年4月7日
〜失敗報告の文化設計。心理的安全性を「制度」に落とし込む実践〜 はじめに 失敗が消える工場と、失敗が残る工場製造業のコンサルタントとして、多くの工場を訪れてきました。 初めて訪問した工場で、わたしが最初に確認することの一つが、「直近の不良・トラブル報告」です。 これを見ると、その工場の「文化」が、おおよそわかります。 報告書が詳細で、原因分析が深く、再発防止策が具体的で、その後の検証結果まで記録されている工場。こういう工場は、たいてい現場が活気づいていて、問題解決のス
2026年4月6日
日本型OJTが機能しなくなった理由と代替設計 経験の言語化・後継者への知識移転の具体的な方法論。 はじめに 「見て覚えろ」が通用しない現場前話では、インドネシアの22歳のオペレーター、スリの話をしました。 毎日同じ機械と向き合ってきた2年間の積み重ねが、彼女の感覚の中に「暗黙知」として蓄積されていた。機械の音の変化という、マニュアルにも設計書にも書かれていない知識が、彼女の中にあった。 スリは、特別な訓練を受けたわけではありません。誰かが意図的に「機械の音の変化の察知の
2026年4月5日
現場の最前線にいる人が持っている「観察力」の価値と、 それを潰す組織の話。 はじめに 現場の最前線にいる人が、一番よく見えている製造業のコンサルタントをしていると、訪問した工場の中で、いつも「この人がいなければ、この工場は止まっていた」と思う場面に出会います。 その人が工場長や生産部長である場合もあります。でも、案外多いのは、オペレーターや、ライン担当者や、品質検査の担当者といった、組織の中では「現場の人」と呼ばれる立場の方たちです。 今回お話しするのは、インドネシアの
2026年4月4日
30カ国で見た「たった一つの違い」 技術スキルでも学歴でもない。「問い続ける習慣」という唯一の共通点。 はじめに 「条件は同じなのに、なぜ結果が違うのか」製造業のコンサルタントをしていると、似たような質問を何度も受けます。 「うちの工場と、隣の工場、規模も設備も同じなのに、なぜ隣はどんどん良くなっていくのか」 「同じ研修を受けた二人の若手が、3年後に全く違うエンジニアになっていた。何が違ったのか」 「あの拠点は毎年同じ問題を繰り返している。技術者も悪くない、設備も最新のも
2026年4月3日
タイ北部、チェンマイ郊外の工場チェンマイの市街地から車で40分ほど走ると、田んぼと果樹園のあいだに工業団地が点在しています。 タイの地方工業団地は、バンコク近郊のそれとは少し雰囲気が違います。整然としているけれど、どこか生活のにおいがする。通勤の従業員が乗ったソンテウ(乗り合いトラック)が工場の正門前に停まり、笑い声を上げながら降りてくる。そういう、人間くさい場所です。 わたしがその工場を初めて訪れたのは、ある日系電機メーカーの製造拠点の改善支援がきっかけでした。工場の規
2026年4月2日
不確実性を味方にする製造業の思想 ~ サバイバル・サプライチェーン 連載完結 ~ この連載を、ここまで読んでくださった方へ。 ありがとうございます。 Prologueで「工場は動いているのに、サプライチェーンが死にかけている」と書いてから、ずいぶん長い旅でした。規制の地雷原を歩き、PFAS代替の壁に向き合い、中国依存の深さを数値で直視し、東南アジアの現場に入り、サプライヤーを育てることの意味を考え、在庫の哲学を問い直し、デジタルの可能性と限界を見つめ、欧州規制を機会に変
2026年4月1日
ー今から動く企業と、動けない企業の分岐点ー 2030年はすでに始まっている。そこにいるのは、今日の選択をした企業だけです。 第1話から第9話まで、CBAM・PFAS・地政学リスク・在庫戦略・デジタル化・欧州規制・そして唯一性の設計、製造業のサプライチェーンを取り巻くあらゆる課題を現場目線でお伝えしてきました。最終話となる第10話では、これらの流れを束ねて「2030年という地平」を描きます。 シナリオプランニングとは「未来を予測する」のではなく「複数の未来を想定し、どの未来が
2026年3月31日
ー価格競争から脱出するための「唯一性の設計」ー 「安くする」競争は必ず誰かに負ける。しかし「あなたにしかできない」競争には、終わりがありません。 第8話では、欧州規制を「機会」に変えた企業の事例をお伝えしました。それらの企業に共通していたのは「証明できる唯一性」を持っていたことです。第9話では、その「唯一性」をどう設計するかを正面から論じます。 この連載を通じて、私が繰り返し言いたかったことの核心がここにあります。規制対応・地政学リスク・デジタル化・在庫戦略。これらはすべて
2026年3月30日
ー欧州規制を機会に変えるー 規制は、先に対応した企業にとって「参入障壁」になる。後から対応した企業にとっては「コスト」のまま終わる。この非対称性を理解した企業だけが、規制を「機会」に変えられます。 第1話では、CBAM・PFAS・関税という「規制の地雷原」の全体地図をお伝えしました。第8話では、視点を180度変えます。テーマは「規制対応をコストではなく競争優位に変える」です。 EU CRA(サイバーレジリエンス法)・EU電池規則(Battery Regulation)・EU
2026年3月29日
ー生成AI・IoT・ERPの組合せで、リスクを早期検知するための実践設計ー 第6話では、在庫戦略の再設計。バッファをどう持つかを扱いました。第7話では、そのバッファも含めたサプライチェーン全体を「見える化」するデジタルツールの活用を扱います。 私は株式会社DCTAの事業の柱として、IoT・AI・デジタルツインを活用したスマートファクトリー開発支援を行っています。自動車・電機電子・半導体・食品・化学・医薬など多くの業種でデジタル化プロジェクトに関わってきた経験から、「何が使え
2026年3月28日
ー「ジャスト・イン・タイム」は終わったのかー 「在庫は悪だ」と教わった世代が、コロナで「在庫がなければ死ぬ」と学びました。その振り子がどこに落ち着くべきか。これが第6話のテーマです。 第5話では、海外サプライヤーを「育てる」という人的・関係的な側面をお伝えしました。第6話では、サプライチェーンの「時間的な耐性」、すなわち在庫戦略を扱います。 2020〜2022年のコロナ禍と半導体不足は、製造業の在庫戦略に対する考え方を根底から揺るがしました。「ジャスト・イン・タイム(JIT
2026年3月27日
ーサプライヤー開発の現場論ー 海外サプライヤーとの関係は、「取引」ではなく「教育」だと思ったときから、うまくいき始める。 第4話では、東南アジア・インド・中東の代替拠点をコスト・品質・インフラ・人材の4軸で評価しました。第5話では、代替拠点を「選んだ後」の最も重要なステップを扱います。 拠点を選び、サプライヤーを特定する。ここまでは多くの企業が経験します。しかし、本当に難しいのはその先です。「いいサプライヤーを選んだのに、品質が安定しない」「コミュニケーションが取れない」「
2026年3月26日
ー現地視察ベースの比較。コスト・品質・インフラ・人材の4軸評価ー 「東南アジアに移せばいい」その一言で終わらせるには、現実はもう少し複雑です。 第3話では、中国依存度の数値化とChina+1戦略の設計方法をお伝えしました。第4話では、その「+1」の候補となる拠点。ベトナム・タイ・インドネシア・インド・中東の実力を、コスト・品質・インフラ・人材の4軸で評価します。 私はAOTS(海外産業人材育成協会)の技術専門家派遣でインドネシアに赴き、ジャカルタとバリでプラスチックリサイ
2026年3月25日
ーあなたの会社のリスクを数値化するー 「依存しているとはわかっている。でもどれくらい依存しているかは、正直わからない」これが多くの製造業の本音です。 第2話では、PFASという「素材の規制リスク」を深掘りしました。第3話では視点を変えて、「調達先の地政学リスク」特に中国依存の問題を取り上げます。 「China+1」という言葉が語られて久しいですが、現場を歩くと「わかってはいるが、動けていない」企業が大多数です。その理由の一つは、「自社の依存度がどれくらい深刻か」を定量的に把
2026年3月24日
ー代替素材・サプライヤー切り替えの現実的なロードマップー 「PFAS?うちは関係ないその一言が、5年後の調達危機を招きます。 第1話では、CBAM・関税・PFAS規制という「3つの規制の地雷原」の全体地図をお伝えしました。第2話では、私が最も深く関わってきた専門領域—PFAS規制—を正面から取り上げます。 PFAS規制は、関税や炭素課金とは性格が異なります。「コストが上がる」問題ではなく、「その素材が使えなくなる」問題です。代替素材の開発には2〜5年かかることも珍しくなく、
2026年3月23日
──Prologue〜第15話を振り返り、製造現場の未来を見据えて── ■ はじめに〜Epilogueを書く理由DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は、いつの間にか「ITシステムを入れること」と同義になってしまいました。 クラウド化しました。ペーパーレスにしました。AIツールを導入しました。これらは「IT化」です。デジタルトランスフォーメーション、つまり「デジタルによる変革」ではありません。 この連載を通じて作ってきた日報アプリも、タイムカードも、週報プロンプ
2026年3月22日
──この連載を通じて、本当に伝えたかったこと── ■ はじめにPrologueから数えて、この第15話が最終話です。 第1話では「現場DXはなぜ日報で止まるのか」という問いから始まりました。第2話でプログラミング不要でAIが使えることをお伝えし、第3〜4話でExcelと業務分解の話をしました。第5〜8話で日報・タイムカードのアプリを実際にプロンプトで作り、第9話でフィジカルAIの世界に踏み込み、第10〜11話でデータを週報・月報に変えました。第12話で現場への定着を、第13
2026年3月21日
──「移植」ではなく「再現」という発想で、成功を次の現場へ── ■ はじめに第5話から第13話にかけて、日報アプリの設計・タイムカード・工程管理・データ分析・現場への定着方法まで、一通りの仕組みを作り上げてきました。 ここで、多くの現場で起きることがあります。「Aラインではうまくいった。では、Bラインにも展開しよう」と思ったとき、なぜかうまくいかないのです。 同じアプリを入れた。同じ手順で説明した。なのに、Bラインでは定着しない。Aラインのリーダーに「なぜうまくいったのか」
2026年3月20日
──「データを見る」から「データで考える」への転換── ■ はじめに第5話から第12話にかけて、日報・タイムカード・工程管理・GPS・カメラ・週報・月報と、現場のデータを蓄積する仕組みと、それを現場に定着させる人の扱い方を積み上げてきました。 では、蓄積されたデータは何のためにあるのでしょうか。 「記録があります」「データが溜まっています」しかしそれが現場の意思決定につながっていなければ、データは単なる数字の山です。倉庫の棚に並んだ在庫と同じで、使われなければ価値を生みませ
2026年3月19日
──「説明より体験」。最初の一人が、すべてを変える── ■ はじめに第5話から第11話にかけて、日報アプリの設計・タイムカード・工程管理・GPS記録・週報・月報まで、現場で使えるAIの仕組みを積み上げてきました。 技術的な準備は整っています。しかし、ここで立ち止まって考えてほしいことがあります。 「仕組みを作っただけでは、現場は変わらない」 これは、私がこれまで30か国以上の製造現場でコンサルティングをしてきた中で、何度も目にしてきた現実です。素晴らしいシステムを作ったのに
2026年3月18日
──管理職の時間を「作る仕事」から「判断する仕事」に取り戻す── ■ はじめに前話(第10話)では、日報データを使って週報を5分で完成させるプロンプトテンプレートをお伝えしました。そして週報をGoogleドキュメントに蓄積していく運用フローも設計しました。 今回はその続きです。週報が4〜5本蓄積されると、それはそのまま月報の素材になります。月報をゼロから書く必要はありません。 しかし本話でお伝えしたいのは、月報の自動生成テクニックだけではありません。より根本的な問いがありま
2026年3月18日
──「要約して」では使えない週報になる。問いの設計が全て── ■ はじめに第5話から第9話にかけて、日報・タイムカード・工程管理・位置記録・カメラ記録と、現場データを蓄積する仕組みを順番に作ってきました。 今回はついに「蓄積したデータを上司に届ける」フェーズです。テーマは週報の自動生成です。 現場リーダーが毎週金曜日の夕方に、週報を書くために30分を費やしている、そういう現場を私はこれまで何十か所と見てきました。一週間のことを記憶から掘り起こして、見栄えよくまとめて提出する
2026年3月17日
──高価なセンサーは不要。スマホ1台が「現場のセンサー」になる── ■ はじめに前話(第8話)では、タイムカードアプリをプロンプトで作り、打刻データを「現場の歪みを映すセンサー」として活用する方法をお伝えしました。 今回はいよいよ「フィジカルAI」の入門編です。フィジカルAIという言葉を聞くと、産業用ロボット・高精度カメラ・IoTセンサーネットワーク。そんな大がかりな仕組みを想像する方が多いかもしれません。 しかし本話でお伝えしたいのは、もっと地に足のついた話です。QRコー
2026年3月16日
ー「知らなかった」では済まない時代に、私たちは入っていますー Prologueでは、2026年の製造業が直面する「3つの同時危機」として、規制・地政学・コストの複合リスクをご紹介しました。第1話では、その中でも最も「即効性」のある危機、すなわち規制の問題を正面から取り上げます。「規制は大企業の話」「うちは国内向けだから関係ない」。そう思っている方にこそ、読んでいただきたい内容です。規制の影響は、気づいたときにはすでにサプライチェーンの深部まで浸透しています。地雷は踏む前に、
2026年3月16日
──打刻は「管理」のためではなく、「現場を知る」ためにある── ■ はじめに前話(第7話)では、Googleフォームで集めた日報データを「改ざんされない記録」にするための設計・アクセス権の管理・シートの保護・変更履歴の活用をお伝えしました。 今回から、同じ設計パターンを「タイムカード」に応用します。第5・6話で覚えた「フォームをプロンプトで作る」手順はそのままです。新しく覚えることは多くありません。 ただし、タイムカードには日報にはない重要な視点があります。それが「打刻=管
2026年3月15日
──デジタルだから安全、は思い込みです── ■ はじめに前話(第6話)では、ClaudeとGoogleフォームを使って日報アプリを実際に作り、QRコードで現場に展開するところまでお伝えしました。フォームが完成し、現場で使われはじめると、データがスプレッドシートに蓄積されていきます。 しかしここで、多くの方が見落としがちな問題があります。「デジタルにしたから改ざんされない」という思い込みです。 実際には、Googleスプレッドシートは設定次第で誰でも自由に編集できます。記録を
2026年3月14日
──プロンプトを入力したら、フォームが現れた── ■ はじめに前話(第5話)では、日報アプリを作る前に決めておくべき3つの設計思想「入力は5項目・選択式中心」「送信後は編集不可」「スマホで30秒」をお伝えしました。そして、その設計思想をClaudeへのプロンプトとして言語化する方法もご紹介しました。 今回はいよいよ、その設計書をもとに実際のGoogleフォームを作っていきます。「Claudeにプロンプトを入力する→HTMLコードが出力される→それをコピーして貼り付けるだけで
2026年3月13日
あなたの調達先は、5年後も存在していますか。 少し乱暴な問いかけに聞こえるかもしれません。でも、2026年の製造業の現場を歩いていると、これが決して大げさではないと実感します。工場の生産ラインは今日も動いている。受注はある。在庫もある。にもかかわらず、その工場を支えているサプライチェーンが、静かに、しかし確実に崩れ始めているのです。 ■ 「3つの同時危機」2026年の製造業が直面している現実私がこれまで関わってきた製造業のクライアントである自動車部品、電機・電子、化学素材、
2026年3月12日
──まず決めるべき3つの設計思想── ■ はじめに前話(第4話)では、アプリを作る前に「業務の分解」をすることの重要性をお伝えしました。日報業務を5つのステップに分解し、「嘘が生まれるポイント」を事前に把握しておく。これがアプリ設計の出発点でした。 今回からいよいよ、生成AIのプロンプトを使って日報アプリを実際に作っていきます。ただし、いきなり「アプリを作って」と書けばよいわけではありません。 本話では「設計編」として、アプリを作り始める前に決めておくべき3つの設計思想を整
2026年3月11日
──いきなりアプリ化すると、なぜ失敗するのか ── ■ はじめに前話では、ExcelデータをそのままAIに渡すだけで分析できること、そして整理されていない現場こそ生成AIの恩恵が大きいことをお伝えしました。 今回はいよいよ「アプリを作る」ステップに近づきます。しかし、その前に、必ずやっておくべきことがあります。それが「業務の分解」です。 「さっそく日報アプリを作ろう」と意気込んで失敗するチームは、例外なくこのステップを飛ばしています。アプリを作る前に業務を5つに分解すること
2026年3月9日
── 行・列・項目という構造が、AIにとって最高の教材である ── ■ はじめに前話では、生成AIはプログラミングなしでも使えること、そして日本語で指示を書くだけでアプリの原型が生成できることを体験してもらいました。 今回は一歩進んで、「なぜExcel業務と生成AIの相性がこれほど良いのか」を解説します。 現場で働く人が毎日使うExcel。そのExcelが持つ構造そのものが、実はAIにとって「最高の教材」になっています。この理由を理解すると、AIの使い方が根本的に変わります
2026年3月8日
── 今日の昼休みに試せる、7ステップ完全ガイド ── 「プログラミングができないと使えない」──これは誤解です。 スマホとインターネットさえあれば、今すぐ始められます。 この話では、日報フォームを30分で作る手順を画面の動きとともに解説します。 ■ まず「プロンプト」とは何かAIへの指示文のことを「プロンプト」と呼びます。難しい言葉ですが、要するに「AIへのお願いメモ」です。人間に「この書類をA4一枚にまとめてください」と頼むのと同じ感覚で、AIに日本語で書いて送るだけ
2026年3月3日
── 手書き・Excelが抱える「構造問題」を丸ごと解剖する ── 「うちにはAIは早い」「プログラムなんて分からない」──そう感じているあなたほど、この第1話を読む価値があります。 Excelが使えれば十分です。難しいことは、AIが全部やってくれます。まず、なぜ「日報」からなのか。そこから始めましょう。 ■ 現場DXの「最初の壁」は、日報という名の紙切れだった製造現場のDX推進担当者が口をそろえて言う言葉があります。 「システムは入れた。でも、現場の日報は相変わらず手書
2026年3月2日
目次 Prologue+全15話+Epilogue本連載は、製造・物流・サービス業の現場で「Excelが使える」レベルのITスキルがあれば、生成AIを使って実用的な業務アプリを自作できることを実証していきます。Prologueから始まり、第1話〜第15話、そしてEpilogueまでの全17回構成です。 【目次表】生成AI・フィジカルAI実践導入編 全構成 ※ なお、フィジカルAIの製造業への応用について、別連載マガジン 『フィジカルAIで変わる製造業~「考えるAI」から「
2026年2月25日
夜明け前の工場午前4時。 工場の夜勤最終ラウンドが始まる時間帯、ラインの轟音と油の匂いが混ざった空気の中で、一人の作業員が立ち止まる。 彼は20年のベテランだ。このラインを誰より知っている。不良品が出る前に「音が変わった」と気づく感覚を持っている。システムのアラームより先に、体が反応する。 しかし今夜、彼は少し違う場所で立ち止まった。ラインの前ではなく、ダッシュボードの前だ。先月から新しく入れたIoTの可視化画面が、静かに数字を流している。 「……これ、本当に正しいのかな
2026年2月24日
はじめに:未来予測ではなく「逆算思考」として語る第7話から第9話にわたって「変革の設計図」シリーズを展開してきました。問いを立て直すこと、データを資産にすること、規制を戦略に変換すること、三つの設計論を重ねてきた最終回として、第10話では「2030年の製造業」という視点から現在の変革を逆算します。 ただし、これは未来予測の話ではありません。「2030年に何が起きるか」を当てようとする話でも、テクノロジートレンドを並べる話でもありません。 「2030年の製造業はこうなる」
2026年2月23日
はじめに:「規制対応」と「規制による戦略変換」は全く別のゲームである第7話で「問いを立て直す」こと、第8話で「データを資産に変える」ことを論じてきました。第9話では変革の設計図シリーズの第三弾として、「規制を戦略に変換するフレームワーク」を提示します。 第4話「失敗の解剖③:欧州規制が来てから気づいたサプライチェーンの空白」で描いた失敗への処方箋です。 まず、根本的な問いを立て直すことから始めます。 規制対応を「コストの問い」で始めると、永遠にコストで終わります。 規
2026年2月22日
はじめに:「データがある」と「データが資産になっている」の違い第7話では、変革の設計の第一歩として「問いを立て直すこと」を論じました。問いが設計されて初めて、データは意味を持ちます。 第8話では、その先のステップ、「データをどう組織の資産に変えるか」を扱います。第2話で描いた失敗、「データを集めたが何も変わらなかった」への処方箋です。 多くの製造業でこんな場面を見てきました。工場にはセンサーが並び、ダッシュボードには数字が流れ、レポートが毎週生成される。しかし誰も、そのデ
2026年2月21日
はじめに:「設計図」シリーズの始まり第2話から第6話にわたって、「失敗の解剖」と「現場の学び」を描いてきました。データ活用の失敗、ベンダー丸投げの失敗、規制への後手対応、組織の抵抗、そしてアジアの現場が示す変革の逆説、これらすべての話に、一つの共通する根がありました。 それは「問いの不在」あるいは「問いの誤り」です。 第7話からは「変革の設計図」シリーズとして、「どう変革するか」の具体的な方法論に入ります。その最初のステップは、技術でも予算でも組織改革でもありません。 変
2026年2月20日
はじめに:「遅れているから変革できない」という誤解第5話では、変革を阻む組織の「見えない構造」を解剖しました。第6話では、現場を舞台にした話が続きますが、視点を日本から東南アジアへと移します。 第2話から第5話まで、主に「なぜ変革が失敗するのか」を論じてきました。第6話は少し趣を変えて、「変革が速い現場からは何が学べるか」という問いに向き合います。 私はコンサルタントとして、インドネシア・タイ・ベトナム・マレーシア・インドなど東南アジアを中心に、アジア各地の製造現場を数多
2026年2月19日
はじめに:「抵抗する現場が悪い」という誤解第2話から第4話にわたって、「失敗の解剖」シリーズをお届けしました。データ活用の失敗、ベンダー丸投げの失敗、規制への後手対応、三つの失敗に共通する根本は「問いを立てていなかった」ことでした。 第5話では、失敗の原因として語られることが多い、もう一つの問題に向き合います。「現場の抵抗」です。 DXプロジェクトが行き詰まったとき、経営陣や推進チームが口にする言葉があります。「現場が抵抗して、変革が進まない」「現場の意識が低い」「保守的
2026年2月18日
はじめに:「規制対応」という名の後追い第3話では、「ベンダーへの丸投げ」という失敗を解剖しました。今回の第4話では、失敗の解剖シリーズの締めくくりとして、「規制への後手対応」という失敗パターンを取り上げます。 2025年前後から、欧州発の規制が製造業のサプライチェーンを根底から揺さぶっています。PFAS(有機フッ素化合物)規制、EU CRA(サイバーレジリエンス法)、CBAM(炭素国境調整メカニズム)、これらが「同時多発」的に施行されつつある現在、多くの日本の製造企業が共
2026年2月17日
はじめに:「任せれば何とかなる」という幻想第2話では、「データを集めたが何も変わらなかった」という失敗を解剖しました。今回の第3話では、DXプロジェクトにおけるもう一つの典型的な失敗パターン「外部ベンダーへの丸投げ」を取り上げます。 製造DXのプロジェクトが立ち上がるとき、多くの企業が外部ベンダーに頼ります。それ自体は合理的な判断です。システム開発、AIの実装、クラウド構築、これらの専門技術を自社で一から揃えることは、現実的ではありません。 しかし、外部ベンダーへの依頼の仕
2026年2月16日
はじめに。「データがあれば変われる」という誤解第1話では、「改善」と「変革」の定義と境界線を確認しました。今回の第2話からは、「失敗の解剖」に入ります。第2話・第3話・第4話と3話にわたって、製造DXにおける典型的な失敗パターンを深く掘り下げていきます。 その第一弾として取り上げるのは、「データ活用の失敗」です。 近年、多くの製造業でIoTセンサーやMES(製造実行システム)、AI画像検査などの導入が進み、工場内に大量のデータが集まるようになりました。「見える化」が進ん
2026年2月15日
はじめに。「改善」と「変革」は、なぜ混同されるのかPrologueでは、日本の製造DXが「改善ループ」にはまりやすい構造的な背景をお伝えしました。今回の第1話では、その核心にある問いに正面から向き合います。 「改善」と「変革」は、日常の会話の中でしばしば同じ意味で使われます。「現場を変えるために改善を進める」「変革のためにDXを推進する」、これらの言葉は文脈によって互換的に使われており、それ自体は不自然ではありません。 しかし、コンサルタントとして多くの製造現場に関わっ
2026年2月14日
この連載が生まれた理由独立してコンサルタントとして活動を始めてから、11年余りが経ちました。大手化学メーカー、精密機械メーカー、食品製造業、自動車部品サプライヤーと、製造業のDX支援を続けてきた中で、私はある一つのパターンに繰り返し出会ってきました。 どの企業も、真剣に取り組んでいます。現場の担当者の方々は優秀で、問題意識が高く、勉強熱心です。経営陣も「変わらなければならない」という危機感をお持ちです。外部のITベンダーやコンサルティング会社も関与しています。予算も、人材も
2026年2月13日
2040年、ジャカルタ―未来から振り返る(2040年に居るわたしから・・ちょっと未来のお話しです・・・想像をはたらかせて読んでみて下さい) 2040年1月、私はインドネシア・ジャカルタの高層ビルの会議室にいました。 窓の外には、かつて渋滞と大気汚染で有名だったジャカルタの街並みが広がっていますが、今ではすっかり様変わりしています。電気バスが静かに走り、ビルの壁面には垂直農園が広がり、街路樹の下では子供たちが笑っています。 会議室には、ASEAN各国の環境ビジネスリーダーが
2026年2月12日
東京、2025年1月―「これからどう動くべきか」 2025年1月、私は都内のコワーキングスペースで、ある中堅製造業の社長とミーティングを行っていました。社長は、過去9話分の資料を広げながら、わたしにこう言いました。「これまでのお話で、ASEAN環境ビジネスの可能性はよく理解できました。でも、正直に言うと、『で、うちは具体的に何から始めればいいのか』が、まだ見えていません」私は頷きました。この質問は、これまで何十回と受けてきました。「おっしゃる通りです。これまでの9話は、い
2026年2月11日
東京、とあるビジネスセミナーにて―「なぜあの企業は成功し、あの企業は失敗したのか」 2024年12月、私は東京都内で開催された「ASEAN環境ビジネスセミナー」に参加しました。会場には、ASEAN進出を検討している企業の経営者、担当者が約100名集まっていました。そこで私はこう問いかけました。「皆さん、ASEAN環境ビジネスで成功する企業と、失敗する企業の違いは何だと思いますか?」会場から、様々な答えが返ってきました。「技術力の差」「資金力の差」「人材の差」「運の差」……
2026年2月10日
マニラ湾、マングローブ林再生プロジェクトの現場にて―「複合的価値」が生む新しいビジネス 2024年11月、私はフィリピン・マニラ湾の沿岸部を現地側スマートグラスでのバーチャル訪問をしていました。ここでは、日本のNPO法人とフィリピンの地元コミュニティが協力して、マングローブ林の再生と海洋プラスチックゴミの回収を同時に行う、ユニークなプロジェクトが進行中です。プロジェクトマネージャーが説明します。「私たちは、このプロジェクトを『環境再生』だけでなく、『ビジネス』として成立さ
2026年2月9日
ジャカルタ郊外、とあるPETリサイクル工場にて―「理想」と「現実」のギャップ2024年10月、私はインドネシア・ジャカルタ郊外にある、日系企業が出資するPETボトルリサイクル工場(以降 A工場)を訪問していました。工場長が説明しました。「畠山さん、うちの工場、設備だけ見れば日本とほぼ同じレベルです。投資額は約30億円です。でも、実際に稼働させてみると、日本とは全く違う問題が次々に出てくるんです」設備や技術だけでは成功しない。回収システム、品質管理、人材育成、販路開拓、全てが
2026年2月8日
東京、経済産業省での説明会―「知らないと損をする」支援制度の実態2024年12月、私は経済産業省で開催された環境技術に関する「海外展開支援事業説明会」に参加していました。 経産省の説明は、「我々は、日本企業のASEAN環境技術展開を全面的に支援します。例えば、FS(実行可能性調査)や、実証事業に補助金を提供します。」 有用な支援制度は存在するが、多くの企業が「知らない」「使い方がわからない」ために活用できていない。しかし、これらの制度を理解し、戦略的に活用すれば、ASEAN
2026年2月7日
ジャカルタ、とある繊維工場での緊急会議―「2026年問題」の衝撃2024年11月、私はジャカルタ郊外の大手繊維工場を訪問していました。欧州側の担当者が、厳しい表情で告げます。「2026年1月から、我々は全サプライヤーに対し、PFAS含有製品の使用状況報告を義務付けます。2027年からは、PFAS含有率が1000ppmを超える製品の調達を停止します。これは交渉の余地はありません」 これが、ASEAN製造業が直面している「PFAS問題」の現実です。そして、ここにこそ、日本企業に
2026年2月6日
バンコク、タイ工業省での会議―政府主導の「BCG経済」が意味するもの2024年9月、私はバンコク都心のタイ工業省と打合せました。 先方は、タイ政府のBCG(Bio-Circular-Green)経済推進室の担当官、東部経済回廊(EEC)開発委員会のメンバー、そして数社の日本企業代表が集まっていました。担当官がプレゼンテーションを始めます。 「タイは2021年から、BCG経済モデルを国家戦略の中核に据えています。2030年までに、GDPの30%をBCG関連産業から生み出す目標
2026年2月5日
ハノイ工業団地で見た「製造業の集積」がもたらす循環経済のチャンス2024年10月、私はハノイ郊外のタンロン工業団地を訪れていました。 案内してくれたのは、日系自動車部品メーカーK社のベトナム現地法人の工場長です。工場の敷地を歩きながら、彼はこう語りました。 「この工業団地だけで、日系企業が50社以上入っています。隣はサムスンのディスプレイ工場、向かいはLGの家電部品工場。毎日、膨大な量の産業廃棄物が発生しているんですが、適切に処理できるリサイクル業者が足りないんです」 工場
2026年2月4日
ジャカルタの朝、ゴミ収集の現場で見た「もう一つの経済圏」2024年8月、私はジャカルタ郊外のある住宅地で、朝5時から廃棄物収集の現場を観察していました。 日本企業A社のインドネシア現地法人が、PETボトルリサイクル事業を立ち上げるにあたり、「原料調達の実態を知りたい」との依頼を受けたためです。 朝日が昇り始める頃、最初に現れたのは公式の収集車ではありませんでした。自転車に大きなカゴを取り付けた中年男性が、住宅の前に置かれたゴミ袋を素早く開け、PETボトル、段ボール、金属缶を
2026年2月3日
ASEAN市場を取り巻く「3つの同時進行」2024年12月、私はバンコクで開催されたASEAN環境産業フォーラムに参加していました。会場には、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアから集まった政府関係者、製造業、廃棄物処理業者、そして投資家が一堂に会していました。 基調講演を行ったタイ天然資源・環境省の高官が、こう述べたことが印象的でした。 「我々は今、3つの大きな波を同時に経験しています。人口増加、都市化の加速、そして環境規制の強化。これらが同時に起きている今こそ、循環経
2026年2月2日
はじめに2024年秋、私はジャカルタ郊外の工業団地で、ある日本企業の現地責任者と立ち話をしていました。 「畠山さん、正直に言うと、うちの本社は『リサイクルは儲からない』と思っているんですよ。でも、来年から取引先の欧州ブランドが再生材使用率30%を要求してきた。断れば契約が切れる。今から動いて間に合いますかね?」彼の表情には焦りが滲んでいました。 この会話は決して特殊なケースではありません。2025年に入り、ASEAN各国で同じような相談が急増しています。欧州発の環境規制の波
2026年2月1日
人間とAIの共創―製造業の新しい意義―15話にわたる連載を、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。私たちは、フィジカルAIの技術、効果、課題、導入方法、そして未来を見てきました。データと事実を積み上げ、現実的な議論を重ねてきました。 しかし、最後に問いたいのは、技術ではありません。「なぜ、私たちは製造業を続けるのか」「AIと共に、どんな未来を作りたいのか」この本質的な問いです。Epilogueでは、15話の集大成として、人間とAIの共創、日本製造業の生き抜く道、そし
2026年1月31日
これまで14話にわたり、フィジカルAIの現在を見てきました。技術、効果、課題、導入方法、すべて、2025年の現実です。では、5年後の2030年には、何が実現しているでしょうか。汎用人型ロボットは工場で働いているのか。完全無人工場は当たり前になるのか。日本の製造業は、どう変わっているのか。 第15話では、2030年の製造業を予測します。技術進化の到達点、産業構造の変化、日本企業の勝ち筋、データと専門家の見解をもとに、未来を描きます。そして、その先にある「人間とAIの共創」とい
2026年1月30日
これまで13話にわたり、フィジカルAIの技術、戦略、効果、課題、組織、あらゆる角度から解説してきました。では、実際に導入するには、何から始めればよいのでしょうか。 第14話では、実践的な導入ロジックを構築します。自社診断で適性を見極め、ロードマップを策定し、信頼できるパートナーを選定する、これらを、ステップ・バイ・ステップで解説します。工程分析の自動化適性マトリクス、欧州型・米国型・ハイブリッド型ロードマップの選択基準、ベンダー選定の5つのポイント、実務で即使えるツールとフ
2026年1月29日
製造業に迫る変革の波2025年、製造業を取り巻く環境は急速に変化している。労働力不足、技能伝承の断絶、多品種少量生産への対応、これらの課題に対し、日本の製造現場は長年「改善」と「効率化」で応えてきた。しかし今、新たな解決策が姿を現しつつあります。それが「フィジカルAI」です。 従来の産業用ロボットが「プログラムされた動き」を繰り返すのに対し、フィジカルAIは「状況を理解し、判断し、適応する」。この違いは単なる技術的進化ではなく、製造業のあり方そのものを変えるパラダイムシフト
2026年1月29日
技術的課題は、解決策があります。データ不足なら収集する、レガシーシステムなら段階移行する、方法論は明確です。しかし、組織・人材・投資の課題は、はるかに困難です。経営層が理解しない、現場が抵抗する、ROI計算が困難、これらは、技術だけでは解決できません。 第13話では、この「人と意思決定」の壁を掘り下げます。米国製造業の「PoC疲れ」、現場の雇用不安、無形資産への投資評価の難しさ、これらに、どう対処すべきか。ドイツOEMの10年ロードマップ、日本企業のリスキリングプログラム、
2026年1月28日
これまで11話にわたり、フィジカルAIの可能性を語ってきました。劇的な効果、産業構造の変化、未来は明るく見えます。しかし、現実には多くの課題があります。導入企業の多くが、技術的な壁にぶつかっています。データ収集の難しさ、既存システムとの統合、安全性の担保、これらは、簡単には解決できません。 第12話では、フィジカルAIの「影」の部分を、率直に語ります。欧州の失敗事例、日本企業の苦闘、技術的限界、これらを知ることで、より現実的な導入判断ができます。課題を直視することが、成功へ
2026年1月27日
これまで10話にわたり、フィジカルAIの技術、戦略、活用シーンを見てきました。では、実際に導入すると、何が変わるのでしょうか。 第11話では、効果を包括的に分析します。定量的効果、コスト削減、品質向上、生産性向上。定性的効果、従業員のスキルシフト、働き方改革、組織文化の変容。そして、サプライチェーン全体への波及、業界標準の再定義、マスカスタマイゼーションの実現。 フィジカルAIは、単なる「自動化ツール」ではありません。製造業のビジネスモデルそのものを変える、構造的な変革です
2026年1月27日
これまで、組立・ピッキング、検査・品質管理におけるフィジカルAI活用を見てきました。今回は、もう一つの重要領域である「物流・搬送・保全・安全」に焦点を当てます。工場内の物流は、製造業の血流です。部品や半製品を、適切なタイミングで適切な場所に運ぶ。この「当たり前」を支えるのが、自律移動ロボット(AMR)です。 また、プラント設備の保全や危険作業も、フィジカルAIの重要な適用領域です。Shell、BPなどのエネルギー企業が、どのように点検ロボットを活用しているのか。そして、「止
2026年1月26日
前回は、組立・ピッキング・加工における活用シーンを見ました。今回は、製造業のもう一つの要である「品質」に焦点を当てます。 従来の品質管理は、「見つける品質」でした。製品を作った後で検査し、不良品を見つけて除外する。しかし、フィジカルAIは、パラダイムを変えつつあります。「作り込む品質」へ、製造プロセス自体をAIが監視・制御し、不良品を作らせない。 Intel、TSMC、ASMLといった半導体業界のリーダーたちが、どのようにAIを活用しているのか。外観検査の自動化、不良要因の
2026年1月25日
前回まで、米国・欧州の事例、成功と失敗のパターンを見てきました。では、フィジカルAIは、具体的にどんな作業に向いているのでしょうか。 今回から3話にわたり、「活用シーン」を詳しく見ていきます。第8話は、製造業の基本作業である組立・ピッキング・加工です。 従来のロボットが苦手としていた「不定形物」「多品種少量生産」「頻繁な段取り替え」、これらの課題を、フィジカルAIはどう克服するのか。Foxconn、Fanuc、Covariantなどの実例を交えて解説します。 1. 不定形
2026年1月24日
うまくいった例、静かに消えた例前回は、米国スタートアップの思想とエコシステムを見ました。スピード重視、失敗許容、SaaS的視点、これらが、米国型アプローチの特徴でした。 しかし、全てが成功しているわけではありません。華やかな成功事例の裏には、無数の失敗があります。今回は、成功例と失敗例の両方を見ていきます。 Amazon、Tesla、食品・アパレル産業、これらの成功事例から、ROIが合う条件を探ります。同時に、失敗・撤退事例からも学びます。なぜ失敗したのか。日本企業が同じ轍
2026年1月23日
前回まで、欧州企業のアプローチを見てきました。段階的導入、標準化重視、長期視点・・・堅実で失敗しにくい戦略でした。 今回から2話にわたり、米国のアプローチを探ります。米国は、欧州とは正反対です。「まず動かす、次に最適化する」このスピード感が、米国スタートアップの真骨頂です。 本話では、Covariant、Dexterity、Physical Intelligenceという3つのスタートアップを取り上げます。彼らは、製造業を「顧客」として見る、SaaS的視点を持っています。A
2026年1月22日
成功事例・失敗事例に学ぶ実装アプローチ前回は、欧州のインダストリー4.0の哲学を解説しました。標準化、安全、人中心設計という思想が、欧州のフィジカルAI開発を特徴づけています。 今回は、具体的な実装事例を見ていきます。BMW、Airbus、Daimler Truck。これら欧州の主要企業が、どのようにフィジカルAIを工場に導入したのか。成功の鍵は何だったのか。 同時に、失敗事例も取り上げます。PoCで終わってしまったケース、Sim-to-Realがうまくいかなかったケース
2026年1月21日
インダストリー4.0とフィジカルAIの思想前回は、世界のフィジカルAI開発競争を俯瞰しました。米国のスピード、欧州の計画性、そして日本の品質追求、それぞれに特徴がありました。 今回から2話にわたり、欧州のアプローチを深掘りします。なぜ欧州企業は「失敗しにくい」のか。その背景には、2011年から続く「インダストリー4.0」という壮大な構想があります。 本話では、インダストリー4.0の本質を再整理し、欧州がフィジカルAIをどう位置づけているかを解説します。標準化、安全、人中心設
2026年1月20日
世界のフィジカルAI開発競争前回は、フィジカルAIが今可能になった技術的背景を解説しました。では、実際に誰が、どこまで進めているのでしょうか。 今回は、世界の主要プレイヤーを地域別に紹介します。米国はスタートアップが牽引し、汎用化とスケールを志向します。欧州は伝統的大企業が中心で、産業統合と標準化を重視します。中国は国家戦略として推進し、日本は技術力を持ちながらも新たな課題に直面しています。 各地域の戦略と強み・弱みを理解することで、日本企業がとるべき方向性が見えてきます。
2026年1月19日
前回、フィジカルAIの定義と基本概念を解説しました。しかし、「なぜ今なのか」という疑問が残ります。実は、フィジカルAIの研究自体は1980年代から存在していました。それが実用化されたのは、ここ数年のことです。 今回は、技術進化の歴史を振り返ります。センサー、計算資源、AIアルゴリズム――これら複数の技術要素が、どのように収束してフィジカルAIを可能にしたのか。そして、なぜ海外スタートアップが先行したのか、という産業構造的な背景にも触れます。 本話を読むことで、フィジカルAI
2026年1月18日
前回のPrologueでは、製造業を取り巻く構造的課題と、フィジカルAIが注目される背景をお伝えしました。今回は、「フィジカルAIとは何か」という根本的な問いに答えていきます。 ChatGPTに代表されるデジタルAIと、ロボットが動くフィジカルAI。一見すると「AIがロボットを制御しているだけ」に思えるかもしれません。しかし、その本質的な違いを理解することが、フィジカルAI導入の第一歩となります。 本話では、フィジカルAIの正確な定義から、従来のロボットとの違い、そして実現
2026年1月16日
11カ国58拠点を訪問して見えた、未来をつくる経営者の共通点この連載を通じて、私は2024年に11カ国58拠点の製造現場を(VR含め)訪問しました。ジャカルタの廃プラスチック選別施設、ソウルのデジタルツイン工場、オランダのバイオマス化学品プラント、台南のTSMC水リサイクルシステム、シンガポールの都市鉱山施設、デュースブルクの産業廃熱回収プロジェクト、ダナンのマイクロファクトリー(10月)、ヴェクショーのカーボンネガティブ建材工場、ロッテルダムのリバースロジスティクスセンター
2026年1月15日
─ シンガポール発のAI需給マッチングプラットフォーム ─ シンガポールで見た「AIが需要を予測し自動発注する瞬間」2024年10月、私はシンガポールの物流センターを訪れました。ここは、東南アジア全域に電子部品を供給するAI駆動型の予測型サプライチェーンの中核拠点です。案内してくれたオペレーション責任者は、誇らしげにこう語りました。「私たちは、AIが需要を予測し、在庫を自動発注し、複数のサプライヤーから最適な調達先を選択するプラットフォームを運営しています。このシステムによ
2026年1月14日
─ 台湾が成功させる異業種連携製造拠点 ─ 台湾・新竹で見た「5社が共同利用する試作工場が稼働する瞬間」2024年11月、私は台湾・新竹市の産業クラスターにある共創型製造拠点を訪れました。ここは、5社の企業が共同で「試作・量産・検証」を行う統合施設です。案内してくれた施設長は、次のように話し始めました。 「私たちは、複数企業が設備をシェアするオープンイノベーション工場を運営しています。各社は固定費を50%削減し、事業化スピードを3倍に加速しています。従来は各社が個別に試作設
2026年1月13日
─ 欧州で定着する回収・再生の逆流通モデル ─ オランダで見た「使用済み容器が自動仕分けされ再生される瞬間」2024年9月、私はオランダ・ロッテルダム郊外にある大規模リサイクルセンターを訪れました。ここは、オランダ全土から回収された使用済み容器(ペットボトル、缶、ガラス瓶)が集まる拠点です。年間処理量は20億個。案内してくれた工場長は、つぎのように語りました。 「私たちは、使用済み容器を回収し、再生し、再び市場に戻すリバースロジスティクスを運営しています。この事業の営業利益
2026年1月12日
─ 北欧が実装するCO₂吸収型建材ビジネス ─ スウェーデンで見た「壁材がCO₂を吸収する瞬間」2024年春、私はスウェーデン南部のヴェクショー市にある建材工場をバーチャル訪れました。そこで製造されているのは、一見すると普通の壁材です。しかし、この壁材には驚くべき特性がありました。案内してくれた技術責任者は、誇らしげにこう語りました。 「この壁材は、CO₂を排出するのではなく、吸収・固定します。1㎡あたり15kgのCO₂を固定しています。つまり、この建材を使えば使うほど、大
2026年1月11日
─ 東南アジア発の超小型製造拠点戦略 ─ ベトナムで見た「コンテナサイズの工場が地方都市で稼働する瞬間」2024年7月、私はベトナム中部のダナン市郊外にある小型製造拠点を訪れました。そこにあったのは、大型工場ではなく、40フィートコンテナ10個分のスペースに収まる製造施設でした。案内してくれた施設長は、誇らしげにこう語りました。「私たちは、この小さな施設で月間1万個のプラスチック部品を製造しています。従来の大型工場と同じ品質を、10分の1の投資額で実現しました。しかも、この
2026年1月10日
─ ドイツが実現したエネルギーコスト年間100億円削減 ─ デュースブルクで見た「製鉄所の廃熱が隣町を暖める瞬間」2024年11月、私はドイツ西部のデュースブルク市を訪れました。ここは、欧州最大級の製鉄所が立地する工業都市です。製鉄所の煙突からは、高温の蒸気が立ち上っています。しかし、その蒸気は単に「捨てられている」わけではありませんでした。案内してくれたエネルギー事業部長は、誇らしげにこう語りました。「私たちは、製鉄所から出る200度の廃熱を回収し、地域暖房ネットワークに
2026年1月9日
─ シンガポールが実現した貴金属回収率95% ─ シンガポールで見た「スマホが金塊に変わる瞬間」2024年9月、私はシンガポール西部にある電子廃棄物処理施設をバーチャル訪問しました。施設の入口には、大量の廃棄スマートフォン、パソコン、タブレットが山積みになっています。年間処理量は約5万トン。シンガポール全土から集められた電子機器の墓場です。 現地の説明員はこう語りました。「私たちは、廃棄されたスマートフォン1台から、平均0.3gの金を回収しています。これは、金鉱石1トンか
2026年1月8日
─水使用量90%削減を実現した実態 ─ 台南で見た「使用済み工業用水が99.9%の純度で蘇る瞬間」2024年春、私は台湾南部の先端半導体工場を訪れました。工場の敷地内には、巨大な水処理施設が並んでいます。その規模は、工場建屋と同じくらい。半導体製造施設というより、まるで浄水場のようでした。案内してくれた水管理部門の責任者は、誇らしげにこう語りました。 「私たちの工場では、使った水の90%を再利用しています。新規に取水する水は、わずか10%だけです。この技術により、水コスト
2026年1月7日
─ 欧州が描く脱石油化学の収益モデル─ オランダの農村で見た「麦わらが香料に変わる瞬間」2024年7月、私はオランダ南部の小さな農村にある化学品製造施設にバーチャル視察を実施しました。 施設の周囲には、見渡す限りの麦畑が広がっています。収穫期を迎えた麦は、穀物として出荷され、残った麦わらは通常なら焼却処分されるか、畑にすき込まれます。 しかしこの施設では、その「廃棄物」である麦わらが、香料、界面活性剤、バイオプラスチックに生まれ変わっていました。 案内してくれた施設長は、
2026年1月6日
─ 韓国製造業が先行する仮想生産ライン─ VRゴーグルの向こう側に広がる「もう一つの工場」2024年6月、私はソウル近郊にある中堅製造業の工場を複数のスマートグラスを駆使してバーチャル訪問しました。 案内されたのは、工場棟ではなく、管理棟3階の一室でした。部屋の中央には大型モニターが並び、数名のエンジニアがVRゴーグルを装着して何かを操作しています。 「これが、私たちの"第二の工場"です」 案内役の製造部長がそう言って、私も現場から送られてきたVRゴーグルを弊社オフィスで装
2026年1月5日
─ インドネシアで実証済みの循環型ビジネス ─ ジャカルタ郊外で見た「ゴミが宝に変わる瞬間」2024年7月、私はジャカルタ郊外の工業団地にある廃プラスチック選別施設を訪れました。 巨大な倉庫の中には、日本から輸送されてきたコンテナから降ろされたばかりの廃プラスチックが山積みになっていました。ペットボトル、食品トレー、レジ袋、発泡スチロール・・・日本の消費者が「捨てたもの」が、ここでは「原料」として扱われていました。 施設を案内してくれた現地マネージャーさんは、誇らしげにこう
2026年1月4日
2024年、私は11カ国の製造現場で「日本の10年後」を目撃した2024年7月、ジャカルタ郊外の工業団地。 目の前には、日本から逆輸入された廃プラスチックが、年間30万トン規模で「資源」に生まれ変わる光景が広がっていました。 2024年6月、ソウル近郊の製造業工場。 VRゴーグルの向こう側に広がる「デジタルツイン工場」で、仮想空間での1万回のシミュレーションが不良率を80%削減していました。 2024年9月、シンガポールの電子廃棄物処理施設。 廃棄されたスマホから金・
2026年1月3日
この連載も、ついに最終話を迎えました。第0話から第10話まで、CRAの全体像、技術要件、管理要件、罰則、実践ロードマップ、そしてグローバル展開戦略を詳細に解説してきました。 この最終話では、連載全体を総括し、CRA対応を「コスト」から「投資」へと捉え直します。そして、サイバーレジリエンスを競争力に変える方法、グローバル市場での信頼獲得、DCTA Inc.が提供できる価値、そして皆様の次のステップへの招待(invitation)をお伝えします。 CRA対応は、終わりではなく、
2026年1月2日
「CRAはEU規制だが、日本企業のグローバル展開全体にどう影響するのか?」「米国や他地域でも類似規制が導入されるのか?」「グローバル戦略をどう見直すべきか?」これまで9話にわたってCRAの詳細を解説してきましたが、CRAは単なるEU市場参入の要件ではありません。 この第10話では、CRAが日本企業のグローバル展開に与える影響を多角的に分析し、世界市場での戦略的ポジショニングについて考察します。他地域の類似規制の動向、グローバル製品戦略の再構築、そして日本企業がCRA対応を競争
2026年1月1日
第9-1話では、CRA対応ロードマップの全体像とStep1(現状把握)、Step2前半(優先順位付け)までを解説しました。この第9-2話では、Step2後半(体制構築・予算確保・外部リソース選定)から、Step3(技術実装)、Step4(認証取得と継続的改善)まで、実装フェーズの詳細を明らかにします。 また、中小企業が効率的にCRA対応を進めるための外部専門家活用のポイント、コストを抑えながら品質を確保するための具体的な方法についても、業種別に解説します。 実装フェーズ
2025年12月31日
「何から手をつければいいのか分からない」「限られた人員と予算で、本当に対応できるのか?」これまで8話にわたってCRAの要求事項や課題を解説してきましたが、最も重要な疑問は「では、実際にどう進めるのか?」です。 この第9-1話と第9-2話では、中小企業でも実行可能な、具体的で段階的なCRA対応ロードマップを提示します。Step1(現状把握)からStep4(継続的改善)までの各段階について、自動車部品メーカー、医療機器メーカー、IoT機器メーカーという3つの代表的な業種別に、実践
2025年12月30日
「セキュリティ人材がいない」「レガシーシステムを改修できない」「継続的な対応を維持する予算がない」――CRA対応を検討する日本企業から、繰り返し聞かれる悩みです。 この第8話では、日本企業がCRA対応で直面する3つの主要な課題を明確にし、それぞれに対する現実的な解決アプローチを提示します。理想論ではなく、限られたリソースの中で実現可能な、段階的で実践的な解決策を示します。重要なのは、「完璧を目指さない」ことです。すべての課題を一度に解決しようとするのではなく、優先順位をつけ、
2025年12月29日
「2027年の完全施行まで、まだ時間があるのか?」「今年から何を始めるべきか?」「どの順序で対応すればいいのか?」CRAへの準備を始めようとする企業が最初に直面する疑問です。 この第7話では、2027年12月までの施行スケジュールの全体像を示し、フェーズ別の具体的な対応ステップを明らかにします。2025年末の現時点から逆算して、何を、いつまでに、どの順序で実施すべきかを、実務的なロードマップとして提供します。 実は、2027年12月まで「まだ2年ある」のではなく、「もう2年
2025年12月28日
「制裁金は本当に最大1,500万ユーロなのか?」「違反した場合、具体的に何が起きるのか?」「日本企業でも制裁を受けた事例はあるのか?」CRAのコンプライアンスリスクに関して、経営層が最も懸念する疑問です。 この第6話では、CRA違反のペナルティとその影響を詳細に解説します。制裁金の算定方法、市場排除のメカニズム、企業価値への影響、そしてGDPRなど他のEU規制での違反事例から得られる教訓を明らかにします。経営判断に必要な、リスクの定量的・定性的評価の材料を提供します。 コンプ
2025年12月27日
「リスクアセスメントはどのように実施すればいいのか?」「24時間以内の報告義務は本当に守れるのか?」「継続的監視体制を構築するには何が必要か?」CRA対応のマネジメント面で、組織が直面する課題です。 この第5話では、技術実装を支えるマネジメント体制の構築について解説します。リスクを体系的に評価し、インシデントに迅速に対応し、製品のセキュリティ状態を継続的に監視するための組織体制、プロセス、ツールを明らかにします。また、第三者認証の準備と進め方についても詳述します。 マネジメ
2025年12月26日
「セキュア・バイ・デザインって具体的に何をすればいいのか?」「脆弱性が見つかったらどう対応すべきか?」「技術文書には何を書けばいいのか?」CRA対応の実装段階で、エンジニアとプロジェクトマネージャーが直面する疑問です。 この第4話では、CRAが求める技術的要件を実装レベルで解説します。抽象的な原則論ではなく、「何を」「どのように」「いつまでに」実装すべきかを明確にします。開発プロセスの変革、組織体制の整備、具体的なツールの活用まで、実務に直結する知識を提供します。 技術要件
2025年12月25日
「うちの製品はどのクラスに該当するのか?」「製造者、輸入者、販売者で責任はどう違うのか?」「本当にこの製品も対象なのか?」CRA対応の実務で最初に直面する疑問です。 この第3話では、規制の適用範囲を正確に理解するための具体的な知識を提供します。製品のクラス分類によって要求事項が大きく異なるため、正しい分類判断は対応戦略の最重要ステップです。また、サプライチェーンにおける各プレイヤーの責任範囲を明確にすることで、誰が何をすべきかが明らかになります。 曖昧な理解のまま対応を進
2025年12月24日
「なぜEUはここまで厳しい規制を導入するのか?」「本当にそこまでのリスクがあるのか?」多くの企業が抱く疑問です。 この第2話では、サイバーレジリエンス法が生まれた背景にある深刻な現実を、具体的な事例とデータで示します。欧州で実際に起きたサイバー攻撃の被害、IoT機器の脆弱性が引き起こした実害、そしてEUが目指す戦略的な意図まで、規制強化の必然性を理解することで、CRA対応の重要性が腹落ちするはずです。 「対岸の火事」ではありません。これらの脅威は、日本企業の製品にも、そして日
2025年12月23日
「うちの製品は本当に対象なのか?」「どこまでが規制範囲なのか?」・・・サイバーレジリエンス法について、多くの日本企業が最初に抱く疑問です。この第1話では、法律の基本構造を理解し、自社製品が規制対象となるかを判断するための明確な基準を提示します。 EU市場で事業を展開する、あるいは欧州向け製品のサプライチェーンに関わるすべての企業にとって、この理解は対応の第一歩となります。 1. EU規制の全体像:CRAはどこに位置するのかサイバーレジリエンス法(CRA)を理解するには、まず
2025年12月22日
2027年12月11日、EUサイバーレジリエンス法(Cyber Resilience Act: CRA)が完全施行されます。この日を境に、欧州市場でデジタル製品を販売する日本企業にとって、ビジネス環境は一変します。 最大1,500万ユーロ、または全世界売上高の2.5%という巨額の制裁金。市場からの製品排除。そして何より、グローバル市場における信頼の喪失――。これらは、対応を怠った企業が直面するリアルなリスクです。 本連載は、サイバーレジリエンス法の全容を解き明かし、日本企業
2025年12月21日
〜2050年への壮大なロードマップと、今あなたができること〜 はじめに:2つのロードマップが示す未来第1話から第9話まで、私たちは次世代繊維の技術、環境性能、市場、そして可能性について学んできました。最終回となる第10話では、2つの詳細なロードマップをもとに、発酵タンパク質繊維がどのように繊維産業を変革し、2050年までに「新しい繊維文明」を築くのかを具体的に描きます。 本話では、短期(2025-2028年)、中期(2029-2035年)、長期(2036-2050年)の3
2025年12月20日
〜本当に環境に良い素材とは何か?データで読み解く持続可能性〜 はじめに「この素材は環境に優しい」 このような主張は、今や繊維製品のマーケティングにおいて当たり前のように使われています。しかし、その主張は本当に正しいのでしょうか。何をもって「環境に優しい」と言えるのでしょうか。 前回の第8話では、次世代繊維市場のビジネス面、特に市場規模、主要プレイヤー、投資動向について見てきました。市場は急成長しており、多くの企業が参入していますが、すべての「持続可能」を謳う素材が同じよう
2025年12月19日
〜誰が勝ち、どこに投資が集まるのか〜 はじめにグローバル繊維市場は、年間約1兆ドル(約150兆円)規模の巨大産業です。この市場が今、かつてない変革期を迎えています。環境規制の強化、消費者意識の変化、そして技術革新が重なり、石油由来の合成繊維が支配してきた市場構造が大きく揺らいでいます。 前回の第7話では、Brewed Protein™の商業化における技術的課題とその克服について詳しく見てきました。しかし、優れた技術があっても、それだけでは市場での成功は保証されません。市場規
2025年12月18日
はじめに革新的な技術が実験室で成功を収めることと、それを産業規模で実現することの間には、「死の谷(Death Valley)」と呼ばれる大きな溝が存在します。多くの有望な技術が、この谷を越えられずに消えていきました。バイオテクノロジーの分野では、この谷はさらに深く、広いものとなります。 前回の第6話では、Brewed Protein™の環境面での優位性、特に生分解性とマイクロプラスチック問題への貢献について詳しく見てきました。しかし、どれほど優れた環境特性を持っていても、それ
2025年12月17日
はじめにプラスチックによる海洋汚染が世界的な環境問題として深刻化する中、特にマイクロプラスチックによる環境への影響が注目を集めています。2022年の国連環境計画(UNEP)の報告によれば、毎年約1100万トンのプラスチックが海洋に流入しており、2040年までにはこの量が3倍に増加すると予測されています。 前回の第5話では、Brewed Protein™繊維の優れた機能性について、その強度・耐久性や染色性といった実用面での特性を詳しく見てきました。今回の第6話では、この革新的
2025年12月16日
菌糸体・海藻・微生物が織りなす新素材の世界 2021年、Hermes(エルメス)が発表した『Victoria』バッグは、ファッション業界に衝撃を与えました。このバッグの素材は、動物の皮でも植物繊維でもないキノコの菌糸体から作られた「菌糸体レザー」だったのです。開発したのは米国のスタートアップMycoworks社。菌糸体を培養し、レザーのような素材に加工する技術は、「バイオファブリケーション(生物による製造)」と呼ばれる新しい分野の象徴です。 バイオファブリケーションとは、
2025年12月15日
レーヨン、リヨセル、海藻ベース繊維が拓く第三の道 天然繊維でもなく、石油由来の合成繊維でもない・・・それが「再生セルロース繊維」です。木材パルプや農業残渣からセルロースを抽出し、化学的に溶解・再生することで作られるこの繊維は、19世紀末に「人工シルク」として誕生しました。それから約130年、再生セルロース繊維は、環境技術の進化とともに大きく変貌を遂げています。 初期のレーヨンは、製造過程で大量の化学薬品を使用し、環境負荷が高いという問題を抱えていました。しかし、1990年
2025年12月14日
「エキスパートアドベントカレンダー2025」は、 NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、 各業界・専門領域における学びや、 エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。 本日(2025年12月14日)は、私の記事が掲載されました。 テーマは 「いま関心を寄せているテーマと、そこから生まれそうな新しいシナジー」 です。 現在取り組んでいる活動や興味関心から得た気づきをもとに、新たに生まれつつある可能性を探ります。専門性と興味が交差するこ
2025年12月14日
麻・バナナ・パイナップル・竹がなぜ再注目されるのか 人類が最初に使った繊維は、植物由来でした。麻、亜麻、綿・・・これらの植物繊維は数千年にわたり人類の衣生活を支えてきました。しかし20世紀、石油化学の発展により合成繊維が台頭すると、植物繊維は「古い」「非効率」と見なされるようになりました。 ところが21世紀に入り、状況は一変しています。気候変動、マイクロプラスチック問題、環境規制の強化・・・これらの要因が重なり、植物由来繊維が再び脚光を浴びているのです。しかも、単なる「回
2025年12月13日
微生物発酵が生み出す「設計可能な繊維」の衝撃 2015年、THE NORTH FACEが発表した「MOON PARKA」は、世界を驚かせました。このアウターウェアの素材は、石油でも綿でもウールでもない微生物が発酵タンクの中で生産したタンパク質繊維だったのです。この革新的な素材こそが、Spiber株式会社が開発した「ブリュード・プロテイン™(Brewed Protein)」です。 ブリュードプロテインは、クモの糸の遺伝子をヒントに、微生物に構造タンパク質を生産させる技術です
2025年12月12日
人類と素材の5000年史から見える、次世代繊維への必然 私たちの日常を包み込む繊維・・・衣服、カーテン、カーペット、車のシート、医療用品まで。その存在はあまりにも当たり前すぎて、繊維産業を「古い業界」「成熟産業」と捉える人も少なくありません。しかし、歴史を紐解けば、繊維は常に人類の最先端技術であり、文明そのものを変革してきた革新の産物であることがわかります。 本連載『脱・石油の時代へ〜微生物と発酵が紡ぐ〜ブリュードプロテインが導く繊維産業の大転換』では、日本発のバイオ素材
2025年12月11日
なぜ今、繊維産業の「根本的転換」が必要なのか 本連載の背景と必要性Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)をご存知でしょうか。 直訳すれば「醸造タンパク質」。微生物の発酵によって生み出されるタンパク質繊維のことです。まだ耳慣れない言葉かもしれません。しかし、Spiber株式会社が開発したこの技術が今、繊維産業に革命をもたらそうとしています。 私たちが日々身につけている衣服の多くは、石油から作られています。ポリエステル、ナイロン、アクリル、これらの化学繊維は
2025年12月10日
日本企業の生き残り戦略〜PFASショックを新市場機会に転換する~ ■はじめに 〜危機を超えて、未来を創る〜 第1話から第9話まで、私たちはPFAS問題の本質・・・その深刻な健康リスク、環境への影響、世界各国の規制動向、そして企業が直面する法的・財務的リスクを見てきました。 3M社の8億5,000万ドルの和解金、米国全体で8億7,500万ドルを超えるコンプライアンス費用、EUにおける10,000化学物質の段階的廃止検討・・・これらの数字は、PFAS問題が単なる「環境問題」
2025年12月9日
企業リスクマネジメント〜法的責任、情報開示、ステークホルダー対応~ はじめに 〜経営の根幹を揺るがすPFAS問題〜 「PFAS問題は技術部門だけの課題ではない」これが、世界中の企業経営者が直面している現実です。 2024年、米国では3M社が給水汚染に対する訴訟の解決に8億5,000万ドル以上の支払いに同意し、和解資金は環境浄化と健康影響研究に使用されることになりました。デュポン社はPFAS曝露の重大なリスクを報告しなかったためEPAから1,650万ドルの罰金を科され、さ
2025年12月8日
PFAS汚染浄化技術〜土壌・水・大気の最新除去プロセス~ これまでの第1話から第7話で、PFAS問題の全体像(規制動向、健康影響、代替技術、サプライチェーン管理、分析技術)を見てきました。しかし、既に環境中に放出されてしまったPFASをどう除去・浄化するかという課題が、今、世界中で深刻化しています。 米国だけで57,000箇所以上のPFAS汚染サイトが推定されており、欧州でも空港・消防訓練施設・工場跡地など数千箇所が特定されています。地下水・土壌・排水・大気・・あらゆる環
2025年12月7日
PFAS分析・測定技術〜検出から定量、現場対応まで~ 第6話では、PFAS含有リスクの特定と管理において、サプライヤーデューデリジェンスとリスク評価の重要性を見てきました。しかし、その全ての基盤となるのが「正確で迅速なPFAS分析・測定技術」です。 企業が直面する現実的な課題は明確です。規制対応のために飲料水・排水・製品中のPFASを測定する必要がある。しかし、 (1)分析機関への外注は高額(1サンプル数万〜数十万円)かつ納期が長い(2〜4週間)、 (2)14,000種以
2025年12月6日
サプライチェーン再編戦略〜PFAS含有リスクの特定と管理~ これまでの第1話から第5話で、PFAS問題の全体像が明らかになりました。規制の急速な厳格化(第2話・第3話)、短鎖PFASを含む「安全な代替品」という幻想の崩壊(第5話)、そして一部用途では実用レベルに達した代替技術(第4話・第5話)企業を取り巻く環境は、この3年間で劇的に変化しました。 2025年現在、PFAS問題はもはや「将来の課題」ではなく、「今、対処しなければならない喫緊の経営課題」です。米国EPA飲料水
2025年12月5日
代替技術最前線(2)〜高度材料工学とグリーンケミストリーの挑戦~ 2.フッ素ポリマー代替技術〜GoreePEと非フッ素系高分子材料の挑戦フッ素ポリマー、特にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、商品名Teflon)やePTFE(延伸PTFE)は、アウトドアウェア、医療機器、半導体製造、化学プラント配管など、極めて広範な用途で使用されてきました。その理由は、フッ素ポリマーが持つ「他の材料では実現困難な特性の組み合わせ」にあります。 具体的には、 完全な防水性と透湿性の両立
2025年12月4日
代替技術最前線(2)〜高度材料工学とグリーンケミストリーの挑戦~ 前回の第4話では、バイオベース素材を中心としたPFAS代替技術の現状を見てきました。植物油ベース消火剤(SoyFoam等)、PLA・キトサンなどのバイオベース食品包装、セラミックコーティング調理器具、そしてバイオポリマー繊維は、いずれも実用化が進み、多くの用途で「PFASフリー」の選択肢を提供し始めています。これらの技術は、性能面でPFASの60〜90%程度を達成しつつ、環境性能(生分解性・非毒性・CO2削減
2025年12月3日
代替技術最前線(1)〜バイオベース素材とフッ素フリー革命~ 「PFAS規制は確かに厳しい。しかし、それは同時に、100年に一度の技術革新の機会でもある」 2024年8月、米国Cross Plains Solutions社が発表したSoyFoam(大豆ベース消火剤)は、消防業界に衝撃を与えました。84%がバイオベース素材でありながら、従来のPFAS含有AFFFFoamと同等の消火性能を実証したのです。GreenScreen Gold認証を取得し、OECD Ready Bio
2025年12月2日
産業別PFASショック〜半導体・自動車・繊維・食品包装の最前線~ 「EUVリソグラフィなしに先端半導体は製造できない。そしてEUVにPFASは不可欠だ」—半導体業界の悲鳴が聞こえます。「2025年1月からカリフォルニアとニューヨークでPFAS衣料品が販売できなくなった」—アパレル業界は代替技術開発に追われています。本話では、PFAS規制が最も深刻な影響を与えている4つの産業—半導体、自動車、繊維、食品包装—の最前線を詳しく見ていきます。技術的代替困難性、規制対応の実例、そし
2025年12月1日
世界のPFAS規制動向〜国・地域別詳細分析と2025-2027年タイムライン~ 2025年8月20日、EU5カ国がPFAS包括規制案を更新し、14セクターに加え8つの新セクターを評価対象に追加しました。6月30日、日本が水道法にPFOS・PFOA基準を正式に追加(2026年4月施行)。3月8日、カナダが段階的全面禁止を発表。各国・地域で規制が加速する中、企業はかつてない複雑さでグローバル対応を迫られています。本話では、2025年11月時点の最新規制動向を国・地域別に詳しく見
2025年11月30日
「永遠の化学物質」PFAS問題の全貌~2025年、規制は新たな局面へ~ 2025年5月、米国EPAが突如として規制方針を大転換し、EU包括規制は最終決定段階に突入、日本では水質基準改正の議論が本格化しています。PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)を巡る国際情勢は、かつてないスピードで動いています。「永遠の化学物質」と呼ばれるこの物質群は、今や環境・産業・社会のあらゆる側面で企業経営の最重要課題となりました。本連載では、2024-2025年の激動の変化を踏まえ、わたくし畠山
2025年11月30日
~10日で理解できる『PFASショック』と日本企業の生き残り戦略~ 【 前 書 き 】2025年5月14日、米国環境保護庁(EPA)が突如発表したPFAS規制方針の大転換。同じ月、日本の摂津市では農作物から高濃度PFASが検出され、市民血液からは基準値の40倍ものPFOAが検出されました。4月のPOPs条約COP12では長鎖PFCAの国際的廃絶が決定され、EUは2025年末に包括規制の最終決定を控えています。 この18カ月で、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)を巡る世
2025年11月29日
第10話:環境規制ショックの"生き残り戦略"(最終話) あなたは一人じゃない・・・共に、この変化を乗り越えよう この連載を最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 ここまで9話にわたって、環境規制の実態、各業界への影響、そして新規事業のチャンスについて解説してきました。読んでくださった方の中には、こんな気持ちになっている方もいるかもしれません。 「やるべきことは分かった。でも、どこから手をつければいいのか...」 「社内で理解を得られるだろうか...」 「本当に自
2025年11月27日
第9話:規制対応で生まれる「新規事業の宝の山」 「規制」を「ビジネス」に変えた企業だけが勝つ時代 2024年9月、私は驚くべき企業の成長を目の当たりにしました。 その企業は、わずか3年前まで年商5億円の中小化学メーカーでした。主力製品のPFAS系フッ素化合物は、規制強化で将来が見通せない状況。従業員50名、平均年齢52歳。典型的な「規制で苦しむ中小企業」でした。 しかし、2024年の年商は35億円。従業員は120名に増え、平均年齢は38歳。何が起きたのか? 答えは、「
2025年11月26日
第8話:化学・食品・小売の産業別影響を徹底解説 「環境規制は業界によってこれほど違う」 2024年10月から12月にかけて、私は5つの異なる業界のセミナーで講演しました。同じ「環境規制」をテーマに話したにもかかわらず、聴衆の反応はまったく異なるものでした。 化学業界の反応 「PFAS規制で、うちの主力製品が製造できなくなる可能性があります。代替技術の開発には最低5年。それまでに規制が本格化したら...」(化学メーカー研究開発部長) 食品業界の反応 「容器包装の再生材使用が義
2025年11月25日
第7話:"環境認証"がつくる新たなビジネス市場 認証は「義務」ではなく「武器」である 「ISO14001を取得しないと取引できないと言われました」 「エコマークがないと入札に参加できません」 「カーボンニュートラル認証を取らないと、商談すらしてもらえません」 環境規制コンサルタントとして、私はこうした悩みを数多く聞いてきました。多くの企業が、環境認証を「やらされる義務」として捉えています。 しかし、それは大きな誤解です。 2024年9月、私がコンサルティングしている中堅製造
2025年11月24日
第6話:自治体/地方企業の環境義務はどう変わる?「東京の話」ではない――地方でこそ深刻な環境規制の波 「環境規制は大企業の問題でしょ?」 「うちは地方の中小企業だから関係ない」 「自治体の環境部門は予算も人も足りない」 こうした声を、私は地方でのセミナーで何度も聞いてきました。しかし、それは大きな誤解です。環境規制の波は、むしろ地方でこそ深刻な影響を及ぼしているのです。 2024年10月、私は北陸地方のある市役所を訪れました。環境課の課長は深刻な表情でこう語りました。 「国の
2025年11月23日
第5話:日本のプラスチック新法と化学物質管理「欧州だけの話」ではない。日本でも規制強化が加速 「うちは国内市場中心だから、EUの規制は関係ない」・・・多くの日本企業がそう考えています。しかし、それは大きな誤解です。 2022年4月、日本で「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」が施行されました。2023年には化学物質審査規制法(化審法)が改正され、規制対象物質が大幅に拡大しました。そして2024年以降、さらなる規制強化が予定されています。 日本国内でも、環境規制の波は確実に
2025年11月22日
第4話:EU規制(PPWR/EPR/CRA)が迫る大転換欧州発の「規制津波」が日本のビジネスモデルを破壊する 2024年5月、ある日本の家電メーカーの欧州事業部長から、私は緊急の相談を受けました。 「PPWRでプラスチック包装の再生材使用比率が義務化される。EPRで製品回収・リサイクルの費用負担が求められる。CRAでソフトウェアのセキュリティ管理体制の証明が必要になる。それぞれ対応に数億円かかる見込みで、全部合わせると10億円を超える。しかも、期限は2年後。正直、間に合うか不
2025年11月21日
第3話:CFP(カーボンフットプリント)義務化の真相「見えないCO2」が企業の命運を分ける時代 2026年1月1日・・・この日付を覚えておいてください。EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)が本格稼働し、輸出企業は製品の「カーボンフットプリント(CFP)」を正確に申告しなければ、EU市場へのアクセスを失います。 私のクライアント企業の調達部長は、深刻な表情でこう語りました。「取引先350社にCO2排出量の報告を依頼したら、『そんなデータは持っていない』という回答が8割でした
2025年11月20日
第2話:PFAS ― 規制・代替・サプライチェーン再編の衝撃 「永遠の化学物質」が引き起こす産業革命級の変化 2023年2月、EUが発表したPFAS規制案は、世界中の製造業に衝撃を与えました。対象となる化学物質は約1万種類。半導体、自動車、繊維、医療機器、航空宇宙、ありとあらゆる産業が影響を受ける、まさに「産業革命級」の規制です。 私のもとには、連日のように相談が寄せられます。「うちの製品にPFASが含まれているか調べてほしい」「代替物質はあるのか」「いつまでに対応すればいい
2025年11月19日
第1話:環境規制の大波が日本企業を直撃するはじめに:2025年、企業経営を揺るがす「静かな危機」 2024年から2025年にかけて、日本企業の経営会議で急速に議題に上がるようになった言葉があります。「PFAS」「CFP」「CBAM」「PPWR」これらのアルファベットの略語が、今後10年の企業経営を左右する重大なリスク要因になっているのです。 私がコンサルティングの現場で目の当たりにしているのは、多くの日本企業が「気づいたときには手遅れ」という状況に陥りつつある現実です。環境規
2025年9月29日
Samsung Galaxy Fold7 を入手しました! そこでFoldの歴史から(わたくしエンジニアなので(^^;)、少し技術的な話しも加えw)使用感までをまとめてみました。 第1章:Fold7に至るまでの歴史 〜5年越しの夢がついに現実に〜2019年、スマートフォンの歴史が一歩進んだ瞬間がありました。 それが、Samsung Galaxy Foldの登場です。 1-1.Galaxy Fold(初代) ― 革命か、早すぎた実験機か 折りたたみスマホという未来感あふれ
2025年8月26日
3-6 食糧・廃棄物リサイクルはじめに─ 廃棄される“食”が未来の資源になる日 ─ 私たちが毎日のように捨てている食べ残しや加工くず。その量は日本国内だけでも年間2,500万トン以上、うち「まだ食べられるのに廃棄されている食品ロス」は500万トンを超えると言われています。つまり、目の前のコンビニやスーパー、飲食店から出ている“ごみ”は、ただの廃棄物ではなく、地域の農業を潤し、地球環境を守り、次の命を育てる循環資源になりうるのです。 そして近年、フードリサイクルや昆虫資源化
2025年7月31日
3-4 再資源化技術3-4-1:循環社会を支える“都市鉱山”と“廃棄物の価値化”① 原理・機構:ゴミは“資源”であるという発想の転換 再資源化技術とは、製品や製造工程で生じた廃棄物や副産物から、再び有価な資源(原料・材料・燃料など)を回収・再利用する技術群を指します。単なるリサイクルとは異なり、化学的・物理的な変換を通じて「資源の再創出」を実現する点が特徴です。 代表的な再資源化技術は以下のとおりです: ケミカルリサイクル(化学的分解):プラスチックなどをモノマーや
2025年6月22日
3-2 大気・水・土壌の浄化技術ナノテク洗浄技術 ―薬剤ゼロ・高精度・環境負荷ゼロの次世代クリーニング―① 原理・機構 ナノテク洗浄とは、ナノメートル単位の超微粒子・液滴・気泡などを利用して、対象表面から汚染物質を物理的・界面化学的に除去する技術です。 従来の“洗剤・薬品を用いる”洗浄法とは異なり、「物理洗浄」「界面ナノバブル作用」「ナノコーティング」などを活用するのが特徴です。 代表的なアプローチ: ナノミスト洗浄:5〜50nmの微細水粒子を高速噴射し、表面の粒子
2025年5月25日
3-1 CO₂削減技術CCS(Carbon Capture and Storage)― CO₂を「地中に封じる」根本的対策技術 ―① 原理・機構:CO₂を地下に「安全に閉じ込める」3段階プロセス CCSの基本構造は以下の3段階から成り立ちます。 CO₂分離・回収(Capture):石炭火力、天然ガス火力、製鉄、セメント、化学工場などから排出される排ガスから、CO₂を選択的に分離・濃縮します。代表的な方法は以下の通り - 化学吸収法:アミン水溶液でCO₂を吸収 → 加熱
2025年5月12日
2-4 建設・不動産業界の課題と改善事例~「建てる・使う・壊す」すべての工程に環境負荷がある~【社会インフラそのものの見直しが求められている】 建設・不動産業界は、都市の発展や経済成長の象徴として、人々の生活を支えてきました。 しかし、実はこの業界は、地球全体の温室効果ガス排出量の約40%を占めるとされています(IEA, 2021)。 しかも、その環境負荷は建物のライフサイクル全体にわたります。 建設段階では、セメント・鉄鋼・断熱材など高排出資材の使用 利用段階では、冷
2025年5月6日
産業の営みは、豊かさとともに、傷跡も残してきました。 私たちの豊かな生活は、産業の発展に支えられてきました。 しかし同時に、エネルギー消費、廃棄物、温室効果ガス…。 産業構造自体が地球に与えた影響も、無視できません。 ここでは、業界ごとに「いま起きている課題」と「希望の光」となる改善事例を追っていきます。 2-1 製造業の課題と改善~素材・化学・自動車・電機産業を中心に~【経済成長の代償としての環境負荷】 製造業は日本経済の中核を担ってきた存在です。 2022年時点で、
2025年5月1日
環境問題は、もはや一部の企業や政府だけが取り組むべき課題ではありません。 いま求められているのは、生産者、消費者、社会全体が連携し、IoTとAIの力を使って「見えない環境負荷」を見える化し、共に未来を創っていく新しいモデルです。 本連載では、産業界の現実、最新の環境改善技術、IoT・AIの活用事例、規制・認証動向、そして意識改革に至るまで、「本質的な課題と解決策」を具体的に掘り下げます。 ぜひ、次世代へつながる第一歩をここからご一緒に。 まえがき「見えないもの」に立ち向かう
2025年4月29日
皆さま、こんにちは。 株式会社DCTAの畠山達彦です。 このたび、NewsPicks Expert主催「EXPERT AWARD 2024」において、 わたくし畠山が【ベストフラッシュ・オピニオン部門】で受賞しました! ▶︎ NewsPicks Expert公式発表(受賞インタビュー)はこちら ▶︎ NewsPicks Expert公式発表(「EXPERT AWARD 2024」全11部門・10名の受賞エキスパートを発表!)はこちら ■ NewsPicks Exper
2025年4月28日
5.2技術進化による新たなビジネスチャンス5.2.1ケミカルリサイクル技術の進化がもたらす新たな市場機会 ケミカルリサイクル技術の進化は、従来のリサイクルでは対応できなかった課題を克服し、新たなビジネスチャンスを生み出している。特に、高品質のリサイクル材の生産が可能になったことで、産業全体の持続可能性が高まりつつある。本節では、市場機会を具体的に分析し、技術革新がどのように新たなビジネスを創出しているかを詳述します。 ①ケミカルリサイクルを活用した新素材市場の拡大 ケミ
2025年3月16日
こんにちは(^^) 今回は、いつもの環境やリサイクルやスマートファクトリーのお話しは、ちょっとおやすみして、ガジェット紹介をします。 DC-Eliteの特徴(外観・付属品)今回紹介するのは、iBassoの新フラグシップDACアンプ「DC-Elite」です。圧倒的な高級感と高性能を兼ね備えたモデルです。 この度、DC-Eliteを入手しましたので、わたしの普段使いの有線イヤフォン『Dunu DaVinci』とスマートフォンとDC-Eliteを接続するOTGケーブルを純正品から
2025年3月2日
5.1ケミカルリサイクルの未来を左右する3つの要素ケミカルリサイクルは、世界の環境政策、技術革新、市場経済の変化と密接に関係しています。本節では、ケミカルリサイクルが今後成長するために重要な3つの要素を解説します。 5.1.1経済性の向上と市場規模の拡大 ケミカルリサイクルの未来は、その経済性の向上と市場規模の拡大に大きく依存しています。従来のリサイクル方法に比べ、ケミカルリサイクルはエネルギー消費が大きく、初期投資コストが高いため、いかに経済的に成立させるかが鍵となりま
2025年2月10日
4.1インドネシアの廃棄物問題とケミカルリサイクルの可能性インドネシアにおける廃棄物問題は、都市化・経済成長とともに深刻化し、環境や経済に大きな影響を与えています。本章では、インドネシアの廃棄物問題の実態、既存のリサイクル政策とその課題、ケミカルリサイクルの導入による可能性について詳しく解説します。 4.1.1インドネシアの廃棄物の現状:データと実態 インドネシアは東南アジアで最も急速に経済発展している国の一つであり、それに伴い廃棄物の発生量も年々増加しています。ここで
2025年1月26日
3.1各技術の紹介ケミカルリサイクル技術は、その処理プロセスや生成物によって複数の種類に分類されます。本節では、ガス化技術、熱分解技術、化学的解重合技術、水素化分解技術について、それぞれのプロセス、特徴、適用可能な廃棄物の種類、実用例を詳しく解説します。 3.1.1ガス化技術(Gasification) 技術概要 ガス化技術は、廃プラスチックを高温で酸化または部分酸化することで、一酸化炭素(CO)と水素(H₂)を主成分とする合成ガス(シンガス)を生成する方法です。 プロセ
2025年1月19日
2.1.廃棄プラスチックの現状2.1.1.世界のプラスチック生産と廃棄の現状 プラスチックの大量生産は1950年代から始まり、急速に拡大してきました。今日では、プラスチックの生産量は年間約3億5千万トンに達し、そのうち約半分が使い捨て製品に使用されています。以下の統計が、問題の深刻さを示しています。 生産と廃棄の実態 • 生産量の急増:1950年の年間生産量200万トンから2021年には約3億6千万トンに拡大(PlasticsEuropeデータ)。 • 廃棄物の割合:生
2025年1月13日
1.1ケミカルリサイクルの定義と概要ケミカルリサイクルの定義と仕組み ケミカルリサイクルとは、プラスチック廃棄物を化学反応を用いて分解し、モノマーや石油化学原料、燃料として再利用可能な形に戻す技術です。このプロセスにより、元の製品とは異なる新たな製品へのリサイクルも可能となります。例えば、ペットボトルを化学分解して再度ペットボトルにすることなどが挙げられます。 特に、以下のような廃棄物処理の問題を解決する革新的なアプローチとして注目されています。 分子レベルでのリサイク
2025年1月2日
1.リサイクル・資源循環・CO2削減現状の課題と取り組み プラスチック廃棄物の分解(ミールワームの活用):実証プロジェクトでは、1日あたり200kgのポリスチレン廃棄物を処理し、年間73トンの削減を達成。分解後の有機物は肥料として20ヘクタールの農地の土壌を改良し、収穫量を12%向上させました。また、地域住民に向けたリサイクル社会に関する教育プログラムを提供し、年間500人以上の学生が参加しました。 リグニンを活用したバイオマスプラスチック:リグニン系バイオプラスチックは
2025年1月2日
新たな年の始まりに際し、2024年の活動を振り返ります。この1年、DCTAでは、環境問題解決への挑戦、産業改革の推進、未来志向のプロジェクトを通じて、設計や実証実験フェーズに移行したテーマや、その先の社会実装段階に入っていくプロジェクトなどもありました。これらの成果を具体的な数値や実証データを交えながら、さらに詳細にお届けします。 1.リサイクル・資源循環・CO2削減:具体的な数値で見る成果1-1.プラスチック問題への革新的アプローチ ①ミールワームによる分解技術の実証
2024年12月9日
前回までご紹介してきたミールワームによる資源循環システム。実は、これは単なる環境技術ではありません。巨大な事業機会を秘めた新規市場なのです。 1.なぜ今、このビジネスなのか?市場の可能性 世界のプラスチック廃棄物処理市場:約10兆円 アジアでの廃棄物処理需要:年率15%成長 環境配慮型ビジネスへの投資拡大 競争優位性 特許技術による参入障壁 複数の収益源 環境負荷の大幅削減 具体的な収益モデル 廃棄物処理収入 処理委託料:年間1,000トンで約1,000万円
2024年12月1日
前回、ミールワームによるプラスチック分解の研究成果についてお伝えしました。今回は、この技術を活用した革新的な資源循環システムについてご紹介します。 1.新しい資源循環の形ミールワームによるリサイクルソリューションは、今までの廃棄物処理とは異なったアプローチと考えられます。 そのため、プラスチックリサイクルに関する回収やプラスチック分解プロセスや出口戦略が異なってきます。 1.従来の廃棄物処理との大きな違い 焼却せずに分解 CO2排出を大幅削減 有機資源として再利用可
2024年11月24日
1.ミールワームがもたらす新たな可能性ミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)は、プラスチック分解の能力を持つ驚くべき昆虫として注目されています。2015年、スタンフォード大学の研究チームが行った発見により、従来は自然界で分解が難しいとされていたプラスチック、特にポリスチレン(発泡スチロール)が、ミールワームの摂食によって分解可能であることが明らかになりました。この発見は、環境問題に新たな解決策を提示するものであり、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となりました。 1.プラ
2024年11月16日
こんにちは! 最近、プラスチックリサイクルのビジネスでベトナムとインドネシアを訪問して、驚くべき光景を目にしました。巨大な「ゴミの山」です。日本では当たり前の焼却処理ができず、有機物とプラスチックが混ざった廃棄物が積み重なり、様々な被害が出ています。 この深刻な環境問題に対して、ある"小さな英雄"が注目を集めています。その名も「ミールワーム」。 ミールワームって何? ミールワームは、ゴミムシダマシという甲虫の幼虫です。一見、何の変哲もない虫に見えますが、この小さな生き物には驚
2024年10月13日
1.タイムマシン経営とは?はじめに(タイムマシン経営の衝撃) 製造業の世界に、SF小説から飛び出してきたかのような革命的な経営手法が登場しました。その名も「タイムマシン経営」。この斬新な概念は、最先端のデータ分析技術とAIを駆使して、文字通り「未来を先取り」する経営戦略です。 タイムマシン経営の本質:未来を予測し、現在を最適化する。 タイムマシン経営とは何か? タイムマシン経営は、高度なデータ分析と予測技術を用いて、未来のシナリオをシミュレーションし、先見的な意思決定
2024年10月5日
1.産業界におけるリグニンの使用の歴史と状況多くの植物の細胞壁に含まれる複雑な有機ポリマーであるリグニンは、主に製紙の副産物として何世紀にもわたって産業界で知られてきました。しかし、その産業用途は時とともに大きく進化しました。 1800年代:リグニンは製紙業界では主に廃棄物と見なされ、エネルギー回収の為に燃やされることが多かった。 1900年代初頭:研究者はリグニンの潜在的な用途の調査を開始しましたが、その複雑な構造の為進展は遅かった。 1940年代~1950年代:リグ
2024年9月29日
ePTFE(拡張ポリテトラフルオロエチレン)の詳細な概要と規制動向、そして代替材料の開発状況について。 1.ePTFEに関する詳細な概要日本国内でPFASモニタリング結果が続々と上がってきており、PFASによる人的影響を不安視する声が増えてきています。PFASに関する規制措置の現状や代替材料検討については、次の投稿でまとめています。 https://note.com/iceman_23/n/n9b1620236b7c また最近では、『ePTFE(拡張ポリテトラフルオロエ
2024年9月22日
1.リチウムイオン電池製造機械業界の現状(主要国のまとめ)リチウムイオン電池の需要は、自動車、電子機器、エネルギー貯蔵など幅広い分野で急拡大しています。この成長に伴い、電池製造装置市場も急速に発展しています。特にアジア(日本、中国、韓国)や欧州では、エネルギー政策の一環として設備投資が進んでおり、中国は市場シェアの約70%を占め、韓国と日本が技術でリードしています。 電気自動車や再生可能エネルギーの普及により、製造機械業界は急速に成長しています。主要国の状況は以下の通りです
2024年9月15日
子どもの健康と成長において、口腔ケアは非常に重要です。歯を磨く習慣はもちろんのこと、どんな製品を選び、どのようにケアをするかで、子どもの未来の健康が大きく左右されるのです。この記事では、最新の技術トレンドから、子どもに最適な口腔ケア製品の選び方、そして未来を見据えた技術展望までをわかりやすく紹介します。 1.現在の口腔ケアのトレンドと課題技術革新が進む口腔ケア 口腔ケアの世界は、AIやIoT等の最新技術とともに進化しています。特に子ども向け製品では、スマート歯ブラシや環境
2024年9月8日
1.紙、プラスチック、アルミ缶等をイメージしたリサイクルの現状リサイクルは、循環型社会の基盤として不可欠です。特に紙、プラスチック、アルミ缶のリサイクルは多くの国で定着しており、それぞれ異なる特性や課題を持ちながらも成功を収めています。 •紙 古紙を原料にして再生する紙のリサイクルは、最も広く実施されているリサイクルの一つです。新聞紙や段ボール等は、比較的単純なプロセスで再生が可能で、多くの自治体が効率的な収集システムを導入しています。 •プラスチック プラスチック
2024年9月1日
はじめにプラスチックのリサイクルに関するお話しは、複数させて頂きましたが、それぞれのプロセスでは、まだまだ課題が山積です。 世界各国や地域のゴミ事情を見てきているわたくしとしては、特に気になっているのは分別です。 生ゴミと食品包装資材が混ざった状態での廃棄物は、分別するのが非常に大変です。発展途上国では、数多くの人が人海戦術で分別作業をしています。雇用確保の面は良いことなのかも知れませんが、処理量は期待出来ませんし、作業環境は必ずしも良い状態とは言えません。 そこで、各国で様
2024年8月25日
ここ数年EV車のリリースが盛んである。なかでもBYDの勢いは目を見張るものがある。EV自動車のパイオニアであるTESLAすらも脅かす存在となっています。そこで今回は、TESLAとBYDについて比較してみましょう。 (1)TESLAの起源TESLAモーターズは2003年、マーティン・エーバーハードとマーク・ターペニングによってカリフォルニア州サンカルロスで設立されました。イーロン・マスクは2004年に取締役会会長として会社に加わり、6500万ドルの投資で筆頭株主となりました。
2024年8月16日
リサイクルプラスチックの未来:ヨーロッパからアジア、アメリカ、オーストラリアまでの出口戦略とその課題プラスチックのリサイクルは、環境問題解決の一助となる重要なテーマです。回収からリサイクル(ペレット化)までの様々な課題や最新技術を前号までに紹介してきました。 リサイクル工程で、様々な困難を乗り越えても、ペレットが製品に利用されなければ、プラスチック素材が増える一方です。最終製品へ活用することを考えて実行すること(=出口戦略)がとても重要です。リサイクラーは出口が見えない廃棄プ
2024年8月11日
ここまで、廃棄プラスチックの回収、生ゴミとの分離やプラスチック種類を分けることは非常に難しいことをお伝えしました。また、その困難を様々な技術とソリューションで解決している現状もお伝えしました。 今回は分別された回収プラスチックを破砕し、ペレット化するプロセスに焦点を当てます。この工程は、リサイクル素材を再利用する上で極めて重要なステップです。 では、最新の技術動向や課題、そして未来への展望について、詳しく見ていきましょう! 1.リサイクル粉砕機:進化する技術と応用まず最初に
2024年8月4日
はじめに私たちの日常生活に欠かせないプラスチック。しかし、その便利さの裏で、地球環境は悲鳴を上げています。プラスチック廃棄物の山は年々増加の一途をたどり、海洋生物たちの命を脅かしています。この危機的状況を打開するカギは、効率的なリサイクル技術にあります。ここでは、プラスチックリサイクルの最前線で起きている技術革新をご紹介します。まるでSF映画のような最新技術が、私たちの未来をどう変えていくのか。その可能性に迫ります。 1.回収時のプラスチックは混沌としています想像してみてく
2024年7月28日
世界各国におけるプラスチック回収の現状と事例プラスチックのリサイクルは、環境保護と資源の有効利用において重要な役割を果たしています。しかし、国や地域によってプラスチックの回収方法やリサイクルの実施状況には大きな違いがあります。以下では、各国のプラスチック回収に関する事例、規制、努力、成功事例、課題、そして改善策について詳しく紹介します。 1.世界各国におけるプラスチック回収の事例、規制、努力◆日本 • 事例: • 日本は自治体が定める細かい分別ルールに基づき、家庭からのプ
2024年7月21日
プラスチックのケミカルリサイクルの現状と最新技術動向プラスチックのケミカルリサイクルは、化学的なプロセスを通じて廃棄プラスチックを原料に戻し、新たな製品の製造に利用する方法です。この技術は、従来のマテリアルリサイクルでは困難な混合プラスチックや汚染されたプラスチックのリサイクルを可能にし、循環型社会の実現に向けて重要な役割を果たしています。本記事では、ケミカルリサイクルの現状、最新技術、課題、そして今後の展望について詳しく解説します。 1)廃棄プラスチックのケミカルリサイク
2024年7月13日
マテリアルリサイクルの現状と課題プラスチックのマテリアルリサイクルは、多種多様な廃棄プラスチックを適切に処理し、再資源化するために多くのプロセスと技術を駆使しています。本記事では、廃棄プラスチックのリサイクル現状、技術、課題、そして今後の展望について詳しく解説します。 1.廃棄時の状態プラスチック廃棄物は、様々な形態で廃棄されます。以下はその代表的な例です。 固まった溶融樹脂:工場での生産過程で生じる端材や不良品。 インゴット:再利用を前提として溶融し固められた大きなブ
2024年7月5日
日本国内におけるプラスチック総排出量は約850万トンとされています。そのうち約半数が産業廃棄物として排出されていますが、その中で再生可能な混合プラスチックが占める割合やリサイクルの推進に必要な情報について詳しくまとめてみます。 1.日本国内に於けるプラスチックの総排出量日本国内で年間に排出されるプラスチック廃棄物の総量は、約850万トンです。この数字は家庭から出るプラスチックごみと、産業活動から出るプラスチック廃棄物の合計を示しています。 2.プラスチック排出物の内訳(埋
2024年6月26日
様々な分野で利用されているリチウムイオン電池ですが、もしリチウムイオン電池の工場で火災が発生した時、人体に影響を及ぼす可能性があるガスや廃液、また高温下での化学反応についてまとめてみました。今回の情報を基に、工場運営や現場で製造に関わっている方々に、危険度を確認・評価や対策の参考にしてもらえれば幸いです。 リチウムイオン電池の工場で火災が発生した場合、製品の燃焼や発生ガス、工場廃液が人体に与える影響について、次のようにリストアップし、それぞれの危険度を評価してみましょう。
2024年6月17日
EV車は世界的に普及が加速しています。最も重要なパーツとして、(1)駆動用モーターと(2)全固体電池と(3)カメラ関連デバイスが挙げられますが、これら主要パーツの【市場推移】、【主要プレイヤー】、【研究開発投資額】、【最新技術動向】、【課題】、【今後の方向性(取り組み)】についてまとめてみました。 1.駆動用モーター1-1.市場推移 駆動用モーター市場は、電動車(EV)の普及に伴い急速に成長しています。2019年の市場規模は約30億ドル。2025年には100億ドルを超える
2024年6月10日
にわかに脚光を浴び始めた半導体製造工場建設や増設。工事が急ピッチに進んでいますが、並行して環境対策も進めなけでばならないのも、この時代の工場建設には大切なことです。 中でも水処理については『排水処理』だけではないのです。近年の『水処理』とは、異物除去、PFAS規制対応、熱交換、pH調整、再生可能エネルギー等の確度から、設計・施工する必要があり、そこには透明性が高く、迅速に対処できる管理・運営を実施しなければならないのです。 今回は、半導体工場の設計から運営、管理、保全までに導
2024年6月7日
最近、炭素繊維やその複合材のリサイクルに関する問い合わせが増えてきています。金属と比較して軽量で高強度である炭素繊維複合材は、産業界で必要とされています。 炭素繊維複合材について詳しく説明すると同時に、大量生産化に向けて製造プロセスにもイノベーションを起こさなければいけませんし、DXやGXも積極的に取り入れていく必要に迫られてきています。 今回は、このような流れをまとめてみました。 1.炭素繊維及び複合材料の歴史1)炭素繊維の発展 初期の開発:炭素繊維は1950年代及び1
2024年6月1日
わたしが学生の頃、車のエンジンをチューニングする人や雑誌で溢れていた(溢れていた!は言いすぎかも(笑)) わたしもご多分に漏れず、L26、2TGのボアアップやSOLEXキャブレターの効果やHKSのターボ機構などについて、免許もない頃から読み漁っていた。 なかでも特徴的だったのは、ロータリーエンジンだ! 『12A』、『13B』、『13Bペリフェラル』なんのことやら?と思いながら勉強した。 そして、ある日、『13Bペリ』のRX7を目の前で見た時の感動は、いまでも鮮明だ。 吸排気の
2024年5月24日
1.はじめに現在、中国の自動車メーカを初め、日本や欧州の自動車メーカの上位車種を中心に、オプションとしてヘッドアップディスプレイ(以下:HUD)が採用されています。 それに対して、プラスチック樹脂メーカーや部品製造メーカーや射出成型機メーカーが技術や商品を提供しています。 HUD採用車種は増加傾向にあることから、HUD部品を成形する射出成形機や金型の需要も増えていくと予想されます。 その中で、HUD向けのプラスチック部品を成形するための成形機や使用材料などについて、技術動向
2024年5月17日
1.背景非生分解性プラスチックの使用が増加し、それに伴い非生分解性プラスチック廃棄物も増加しています。これらの廃棄物は環境汚染を引き起こし、地球温暖化の深刻な脅威となっています。そのため、非生分解性プラスチックの代替として生分解性ポリマーの使用が注目されています。 生分解性ポリマーの主な利点は、化石資源の保全と環境汚染の軽減です。これらのポリマーは、食品、動物、農業廃棄物等の各種廃棄物やバイオリソースから作られることがあります。 21世紀の新たな社会と経済をプラスチック汚染
2024年5月7日
アンモニアの燃料利用を工場に導入することでカーボンニュートラル化を志向したい、先進的に導入したいと考えるている企業は少なくありません。 そこで、該当する技術や支援制度を通じて、導入検討の一助としてもらえればと思い、以下にまとめます。 1.背景と技術アンモニアは、炭素排出量の削減に役立つ、燃焼システムにおける化石燃料の実行可能な代替品として浮上しています。これは空気と水から生成でき、持続可能なエネルギーがそのプロセスに動力を供給すると、得られる低炭素生成物は「グリーンアンモニ
2024年4月30日
製造業で加速している取り組みの1つとして、データ利活用がありますが、外部AIベンダーに頼依存せず、自社でデータ分析が出来るように内製化する傾向が高まってきています。 そこで、製造業における生成AI(機械学習自動化)ツールの活用について、以下のような背景、傾向、方向性や課題についてまとめてみますので、社内で製造業特化型AIツールを検討されている方は、参考になさってください。 背景製造業を取り巻く環境は「多品種少量生産」「人手不足」などにより厳しさを増しています。これらの課
2024年4月22日
製造業で自動化支援の問い合わせが増えてきています。 問い合わせには、『量産時にライン移動中のワーク表面の異物検査を自動化したいが、カメラ撮像の向き不向きがあれば教えて欲しい。』『また自動化する場合の検査内容を教えて欲しい。』等がございます。 今回は、①異物検査に対しカメラ撮像が難しい製品、②検査内容、③自動化のニーズについてまとめてみました。 製造現場で、製品や製造工程中部材のワーク表面異物検査の自動化を検討中にされている方々の参考にあればと思います。 1.カメラ検査自
2024年4月16日
プラスチックのリサイクルには、『材料として再活用する=マテリアルリサイクル』と『廃プラスチックを化学的に分解して油等化学製品の原料にする=ケミカルリサイクル』と『廃プラスチックを固形燃料にした後、焼却してエネルギーとして利用する=サーマルリサイクル』があります。 今回は、この中の『マテリアルリサイクル』についてお話ししていきます。 日本で、マテリアルリサイクルを中心にリサイクルをしている業種として小型家電が有名ですが、いくつかの課題に直面しています。 歴史を遡ると、日本で
2024年4月11日
化学・材料産業の製品(繊維/樹脂/医薬品原薬/農薬原体等)の分野に於いて、UV照射工程を必要とする製造プロセスと製品があります。 ではUV照射が必要な製品には、どんなものがあるか?紹介します。 用途や製品は多岐にわたります。そして、その製造プロセスも様々です。 UV照射は環境汚染の観点で良い点もありますが、デメリットもあることは事実です。 今回の活用シーンや製造プロセスでの長・短所の紹介をもとに、安全で環境にやさしく、効率的な製造プロセスでの製品化検討に役立ててもらえればと
2024年4月5日
自動車シュレッダーダスト(ASR)をご存知でしょうか? 自動車のリサイクルや廃車処理プロセスにて生成される廃棄物の混合物です。ASRは、自動車を廃車処理施設で解体する際に、シュレッダーと呼ばれる機械を使用して車体を細かく破砕することで生成されます。 ASRは、通常、自動車から取り外された金属部品(鉄、アルミニウム等)、プラスチック部品、ゴム、ガラス、ファブリック、及びその他の物質から構成され、これら部品や材料は、自動車の解体やリサイクルの過程で分離・回収されますが、ASRには
2024年3月25日
リグニンは、植物の細胞壁、特に木材や樹皮に含まれる有機ポリマーで、植物に構造的なサポートを提供する上で重要な役割を果たします。 また、リグニンは、主に紙・パルプ産業における様々な工業プロセスの副産物でもあります。 このように自然界に存在しながら、工業的副生物でもある魅力的なリグニンには、いくつかの種類があり、それぞれに異なる特徴と用途があります。 1.様々な種類のリグニンの特徴リグニンの特徴リグニンは、セルロースとともに木材の主成分を構成する複雑な有機高分子です。特徴的な側
2024年3月18日
自動車やEV関連部品業界サプライヤーの国内工場では、電気・ガス・エアなど様々なユーティリティーを利用していますが、昨今、環境負荷や働きやすさ、品質管理などの観点から水処理設備や空調関連設備の設計・施工やその管理手法に関するプロジェクトは増加傾向にあります。 CO2排出量削減やSDGsを目標に掲げている企業では、省エネやネットゼロでの製造工場での環境対応が必要となってきています。 再生可能エネルギーの活用やそれを維持管理するエネルギーマネジメントシステムの導入などを検討しなけれ
2024年3月14日
◆歴史と現状バイオプラスチック、特にデンプン混合物から作られるプラスチックの開発は、石油ベースのプラスチックに代わる持続可能な代替品を見つける必要性によって推進されてきました。 プラスチックの基材としてデンプンを使用するという概念は、20世紀初頭に遡ります。 1970年代と1980年代には、従来のプラスチックが環境に与える影響についての環境問題への懸念が高まったため、デンプンベースのプラスチックの開発に関する研究が強化されました。 原油価格の変動と主要な原油生産地域における
2024年3月11日
製造業において熟練技術者のスキル継承においてデジタル技術を活用する取り組みを加速しています。今回はその背景と必要性、そして、具体的な取組内容と課題についてまとめました。 このような場面に直面している製造現場や経営者の方々の参考になればと思います。 【デジタル技術活用が加速する製造業における技術継承の背景】労働力の高齢化:製造業では熟練したエンジニアの多くが退職年齢に近づいており、知識の不足が目立ちます。これらの経験豊富な労働者が職場を離れると、彼らの専門知識や暗黙知が次世代
2024年3月7日
企業のDX推進は非常に加速してきています。 特に社内コミュニケーション改革にあたり、ITツール選定について業種や規模に関わらず問い合わせが増えてきています。 こうしたITコミュニケーションツールを選定するプロセスや基準についてまとめました。ITベンダーは、それぞれ特長がありますので、主要ITベンダーの強み・弱みについても整理してみました。 企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する場合、特に社内コミュニケーション改革においては、適切なITツールの選択が重要で
2024年3月4日
WPCをご存知でしょうか? これは、木材プラスチック複合材料(WPC)のことです。WPCは木粉とプラスチックから作られる複合材料で、木材とプラスチックの両方の特性を組み合わせています。 環境問題がクローズアップされる現代で、いくつかの理由から注目を集めています。 ◆WPC注目理由環境調和:WPCは廃木材や再生プラスチックを活用することができ、廃棄物の削減に貢献します。また、最初の使用後にWPC製品を再成形して再利用することもできるため、リサイクル性が向上します。 低V
2024年2月29日
製造業(金属・鉄鋼・建築)における、出荷前・製品製造工程での外観検査は高度化の要求が高まっております。 特に出荷前・製造工程において、目視・触診等での外観検査を行っている企業では、人員確保の難しさ、ベテラン検査技師の技術・技能伝承が進まない状況下で、検査にかかる負荷は年々増加しています。 現在、目視や触診など所謂五感に依存している検査業務に、AI技術を活用することできないかと考えている企業は少なくないと思います。 一方、AIを活用した外観検査製品は、高額、導入までの期間が長
2024年2月22日
2024年Formula1のプレシーズンテストが始まりました。 気がついた方もいらっしゃるでしょうが、F1マシーンの前方や後方に網の目のようなピトー管が張り巡らされています。これは空気の流れや圧力を計測していると考えられます。 学生時代流体力学を学びながら、様々なレース車輌の風洞実験に立ち会った経験から、ピトー管を用いるFormula1の空力についてまとめてみます。 モーターサイクルの空力スペシャリストではないので、参考程度に読んでもらい(^^)、F1を違う角度から観るのも面
2024年2月22日
1.はじめに管理者向けのスキル評価について、今回は製造業技術系社員のスキル評価をイメージしてまとめておりますが、営業やプロジェクトチームを任されている管理者の方々にも応用出来ると思いますのでご参考にして下さい。 2.技術スキル製造業では,多能工化が進み、外国人労働者を受け入れていく中で、技能や技術のスキルを的確に評価していないと品質や安全の問題が発生する可能性が高まっていきます。 そこで技術系社員の技術スキルの評価項目について、スキル評価の大項目と小項目に分類し、また具体例
2024年2月22日
製造業での技術系社員の技術スキル管理は、多能工化推奨や外国人労働者や技能実習生を受け入れることで、ますます複雑に難しくなってきています。 そのような環境下で、管理者が身につけなければいけないマネージメントスキル評価項目について、スキル評価の大項目と小項目に分類し、その具体例をまとめます。 更に、各スキル評価項目に関する評価方法をまとめてみました。 マネージメントスキルの分類製造業の技術系社員の管理能力評価項目は、企業の具体的なニーズや目標によって異なりますが、一般的なメジャ
2024年2月19日
1.BHTの特徴フェノール系酸化防止剤として最も汎用なBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は、次のような特徴があります。 長所 BHTは、原料や製品が空気中の酸素と反応して酸化されることによる変質・劣化を防ぎ、品質や性能の保持に重要な役割を担っています。 BHTは熱安定性がよいので、加熱を伴う原料の製造工程における酸化防止剤として有用です。酸化しやすい油脂成分やビタミン等の有効成分の保護にも利用されています。 BHTは、食品、化粧品、プラスチック等の様々な産業で広く
2024年2月15日
<半導体製造における水素の必要性>半導体製造では、微細な不純物があるだけでも回路に損傷が起こり、性能が低下する等の致命的な問題が発生します。 そのため、残留物を洗い流す工程が必要になりますが、ここで洗浄液の役割を担うのがフッ化水素です。 集積度が日増しに高まる半導体工程の特性を考えると、不良率を最小限に抑えるには、超高純度のフッ化水素が必要です。 1.日本における半導体製造に関わる水素の現状 日本の水素産業は世界をリードしており、2兆円のグリーンイノベーション基金を活用
2024年2月12日
抵抗器、コンデンサ、電子回路基板等の電子部品製造に関わる国内工場は、省エネやネットゼロを考慮した工場に対応していく環境対応が必要となってきています。 実際、エネルギーマネジメントや再エネ活用、原動設備の熱回収等の動きは進んでいるのか?また、どの設備にこのような改善が求められているか?を考えてみましょう。 抵抗器、コンデンサー、電子回路基板を生産する国内工場の水処理や空調といった電力設備の設計、建設、管理戦略を選択する際には、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。これ
2024年2月8日
はじめに最近、弊社には『木質由来中間生産品』に関する問い合わせが増えてきています。 『木材由来中間生産品』とは、木材などの木質バイオマスを原料として製造される化学品や素材のことを指し、具体的には、木材の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニン等を化学的、生物学的に変換し、各種化学品や新素材を製造するプロセスが含まれます。 『木質由来中間生産品』が注目されている理由はいくつかありますが、代表的な理由は以下の通りです。 持続可能性:木質バイオマスは再生可能な資源であ
2024年2月4日
グローバルリスクとして【生物多様性喪失と生態系崩壊】があげられていますが、その要因のひとつとして、【海洋流出プラスチック】が問題となっております。 プラスチック流出、または一般的にプラスチック汚染と呼ばれるプラスチック流出は、海洋生態系にいくつかの悪影響を及ぼし、生物多様性の損失や生態系の劣化につながります。プラスチック汚染が生物多様性の喪失や生態系の崩壊とどのように相関しているかは次の通りです。 【生物多様性喪失や生態系崩壊と海洋流出プラスチックとの相関】1.海洋生物へ
2024年2月1日
●背景IoTの普及と平行して、産業界では、ロボットを活用する場面が増えてきていましたが、コロナ禍以降、ソーシャルディスタンスを考慮したロボット導入を検討するケースが非常に増えてきました。 そもそもロボット活用は省力化や省人化を目的に導入検討されていますが、これ以外の目的で導入を検討することはあるのでしょうか? 活用シーンや活用業界や実施例を含めて、整理してみました。 様々なシーンでロボット導入を検討されている方や、導入しているが活用方法を見直してみたい方の参考になるかと思い
2024年1月29日
●背景消費者や企業が持続可能性と環境責任を優先するにつれて、カーボンニュートラルは様々な分野で益々価値があり市場性のある属性になりつつあります。 今回は、これらを受け入れる市場や該当材料、実施例などの紹介をすると同時に、想定される課題などもまとめました。 こらからカーボンニュートラル材料を導入検討したり、検討中材料のBreakthroughに役立てて頂ければと思います。 ●カーボンニュートラルが付加価値と考えられている市場は 消費者や企業が持続可能性と環境責任を優先するに
2024年1月25日
1.PFASとはPFAS(パーフルオロアルキル物質、及びポリフルオロアルキル物質)は、フッ素化炭素鎖の存在を特徴とする合成物質です。 PFASは、撥油性、撥水性、耐熱性、低表面張力等のユニークで有用な特性で知られており、様々な産業用途で利用されている物質です。 ただし、PFASには環境及び人体の安全性に関する懸念があり、いくつかの重要なポイントは次のとおりです。 2.PFASの懸念点(1)環境内での持続性 PFASは環境中での残留性が高く、簡単には分解されないため、環
2024年1月22日
半導体製造を中心とした電子デバイスの空調や水処理設備、エネルギーマネージメントシステム関係の設計施工テーマが増えてきていますが、具体的には工場空調・クリーンルームシステムや熱源・排ガス処理設備や排水・廃液・排ガス処理やそのリサイクル設備等が注目されています。 そこで今回はこれら設備が活用され、今後発展が期待される業界や部品群についてまとめてみました。 ①設計・施工が成長していくと思われる業界は?国内工場における空調設備や水処理設備の設計・施工において成長が期待できる業種は
2024年1月18日
脱炭素化に向け、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた動きが国際的に広まりつつある中、その達成に不可欠な技術としてCCUS(CarbondioxideCapture,UtilizationandStorage)が注目されています。 CCUSは、とても素晴らしいソリューションであることは間違いありませんが、回収したCO2ガスを運搬するための液化・再ガス化工程が必要でコスト増となったり、使用時の急減圧でドライアイスとなり、配管閉塞リスクがあります。 そこで、製造、貯蔵
2024年1月15日
製造業は、スマートファクトリー化に向けて、工場の自動機器(AGV、ヒト協働ロボット、製造設備に導入されているセンサーデバイス、自動倉庫、ドローン等)を、メーカーが横断的一元管理するようなプラットフォームの導入検討が進んできている。 上記自動機器は単体での開発は進んでいるが、それを一元的に管理するとなると、単体開発以外に、留意点や開発案件が増えてくる。 そこで今回は、スマートファクトリー化での、各国のプラットフォーム構築状況や具体的に取り組んでいる代表的な企業をまとめてみました
2024年1月11日
1.ビットコイン現物ETFとはビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、トレーダーが暗号資産(仮想通貨)取引所で直接ビットコイン(BTC)を売買することなく、証券口座と株式市場を通じて簡単にビットコインに投資することが可能になります。ビットコイン現物ETFは、ビットコインに投資する新しい手段として注目されています。これが実現すると証券口座を通じて投資することができるため、多くの投資家にとって便利になります。 しかし、ビットコイン現物ETFには管理費用もかかり、ビットコイン
2024年1月11日
工場内のDX推進やスマートファクトリーの推進と平行して、セキュリティーの強化も検討対象としていく傾向が強くなってきており、サイバーセキュリティ対策や内部からの攻撃への対策や対応ルールなどへの整備など包括的なセキュリティ対策の必要性が高まってきています。そこで今回は、工場のセキュリティーに関する包括的ソリューション導入事例についてまとめてみましょう。 確かに、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートファクトリーの文脈においては、工場におけるセキュリティ対策の強化
2024年1月9日
工場のエネルギー使用量を把握する目的でCO2の排出量を計算をして、検討する企業は少なくありませんが、工場内で複数の生産工程を実施している場合、生産工程毎にエネルギー使用量を把握するには、どのような方法があるか?という問い合わせが多くございます。 現実的には複数の生産プロセスを持つ工場でプロセス毎にCO2排出量を配分するのは難しいですが、解決するための様々な方法やアプローチがありますので、一般的な内容としてまとめてみましょう。 アクティビティベースの割り当て CO2排出に寄与
2023年9月4日
『デジタルツイン』と言う言葉を耳にすることが多くなっていますが、弊社も製造工場に対し、デジタルツイン導入支援をしていますが、『必要性』『効果』『費用対効果』『将来展望』のイメージがない状態で導入すると、『ダウンタイムの短縮』や『生産プロセスの最適化』の数値目標になかなか到達できずに悩んでしまったり、プロジェクトが滞ってしまったりといった事態に陥ることが少なくありません。 そこで今回は、デジタルツインを導入での効果を整理し、実装にあたっての課題もピックアップしてみます。 最後に
2023年8月24日
みなさんは、廃棄物からのメタネーション化という言葉を聞いたことがあるかも知れません。 廃棄物からメタン化を含めた二酸化炭素(CO2)回収に関する技術やそれを活用した循環型社会実装を目指すシステム構築に関するロードマップについてまとめてみました。 (1)取り組みの目的と背景廃棄物からのメタン化を含むCO2回収ソリューションの目的は、CO2排出と廃棄物管理という2つのキーワードが重要です。CO2を回収して貴重なエネルギー源であるメタンに変換するという取り組みは、温室効果ガスの排
2023年8月21日
現代社会では、スマートファクトリやIIoT向けのソリューションが拡張しており、今後、クラウド型のデータ分析サービスからEdgeコンピューティングやFogコンピューティング側でのリアルタイムな分析サービスの用途が増えることが予想されている。 エッジコンピューティングのニーズの増加に伴って、AIの必要性も増すのではないかと考え、今回はEdge-AIの必要性について考えてみます。 Edge-AIは、人工知能(AI)の能力とエッジコンピューティングを組み合わせ、エッジデバイス自体
2023年8月18日
スマートファクトリやIIoT向けのソリューションを拡充しており、今後はクラウド型サービスからエッジコンピューティングやフォグコンピューティングなどのリアルタイム分析サービスに移行していくことが考えられる。 そこでEdgeコンピューティングやFogコンピューティングについてまとめてみましょう。 エッジコンピューティングとフォグコンピューティングの必要性 a.エッジコンピューティング:エッジコンピューティングは、計算能力をデータソースに近づけ、エッジデバイスまたはその近くでの
2022年10月10日
わたくしの父が『現代の名工』だったせいか、『技術』『技能』『ものづくりへのこだわり』ということには、子どもの頃からとても敏感だった。 一針一針に強弱をつけることで、ボディーラインにフィットするスーツに仕上げることが出来るという。まさに神業なのだが、そんな神業は他にもあるのではないか?といつもアンテナを張っていた。 そこで巡り会ったのが『MIZUNOグローブ』である。 生地・型・縫製、、紳士服の仕立てに似ているが、革の自由度は必ずしも高くないはずであるが、ユーザーのリクエス
2022年9月29日
LEXUSの性能は十分理解していましたが、今までのモデルはフロントマスクがわたしのイメージにマッチしませんでした。 しかし、2021年9月に発表されたLEXUS IS2022年モデルは、そんなネガティブなイメージを吹き飛ばすモノでした。 迷うことなく仕様確定に向けて交渉開始です。 2021年モデルでハブボルト締結方式に変更したことで足下の軽量化が実現したことでブレーキ性能が向上したことやスポット増強でのフレーム剛性の強化など動力性能が向上したことは魅力的でした。 202
2022年9月21日
スマートファクトリーとは スマートファクトリーは、持続可能で継続的に進化するためにデジタルデバイスやデータを利用した次世代の工場です。 IoTやAI技術を用いて(原料調達から出荷・物流までの)製造工程の最適化を図ると同時に省人化・省力化や歩留まり改善などを実現し、生産性向上を実現します。 スマートファクトリーが注目される背景 スマートファクトリーが注目されるようになった背景には、ドイツ政府が提唱した「インダストリー4.0」にあります。 インダストリー4.0とは、IoTや
2022年9月15日
iOS16が日本時間2022年9月13日(火)午前2時頃にリリースされました。もの凄くたくさんの改善がありますので全部はご紹介出来ませんが、主だったところをピックアップしてみました。 (TOP画像引用元:iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxを購入 – Apple公式サイト(日本) ロック画面iOS16ではロック画面をカスタマイズできます。 ★カスタマイズを開始するには、『ロック画面』の長押しでできます。 複数のロック画面の設定ができます。 ロッ
2022年9月14日
企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ) わたしたちは、バブル崩壊、リーマンショック、数々の大震災などに見舞われた。それらを乗り越えるために産業界はIoTを導入して急速に発展してきた。 そこで経済産業省は「ものづくり白書」にて製造業の在り方を示してきた(2018年版、2019年版にまとめ)。しかし世界的感染症による「高まった不確実性」の時代への対処が求められるようになった。不確実性が増した環境下で製造業には企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)が求められるようになっ
2022年9月13日
• iPhone14シリーズが発表されました。従来機種と比べてどのような進化を遂げたか?iPhone12Pro、13ProとiPhone14Proを比較してみました! (TOP画像引用元:iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxを購入 – Apple公式サイト(日本) 機能紹介Apple公式サイトから比較してみました。 ダイナミックアイランド まず気になったのが『Dynamic Island』ですね。これはパンチホール(アイランド)部分に機能を持た
2022年9月8日
『スマートファクトリー』とは、どういったものでしょう? IoTやAIを導入すれば、それでいいのでしょうか? 多品種・受注生産化、多拠点化、グローバル展開、が加速している昨今。 今後、ディスクリート(加工組立)型工場は、多品種生産化に順応していく必要があります。 一方、温暖化問題から地球環境への配慮、少子高齢化に伴う労働人口の減少、COVID-19によるニューノーマル時代への対応(ソーシャルディスタンス・遠隔作業)が求められています。 多くの経営層の方々は、このような様々